日経クロストレンドは2019年2月4日、東京・新宿のTSUTAYA BOOK APARTMENTでラジオ/ポッドキャスト「週刊日経トレンディ」の公開収録を行った。この回のゲストは、インフルエンサーマーケティングを得意とするLIDDELL(東京・渋谷)の福田晃一CEO。テーマは「共感マーケティング」だ。収録番組は2月18日から「週刊日経トレンディ」(記事下のリンク参照)で配信している。

福田晃一氏をゲストに迎えての公開収録。出演は日経クロストレンドの吾妻拓編集長とラジオNIKKEIの辻留奈アナ
福田晃一氏をゲストに迎えての公開収録。出演は日経クロストレンドの吾妻拓編集長とラジオNIKKEIの辻留奈アナ

 2000年ごろから「読者モデル」(読モ)を起用したマーケティングに関わってきたという福田氏。読モの活躍の場は当初、雑誌というメディアだったが、10年ごろから自分のブログで情報を提供する「ブロガー」と呼ばれる人たちが現れ始め、デジタルメディアにシフトしていった。そして現在、福田氏がマーケティング、プロモーションに活用しているのが、昨年あたりから登場している「インフルエンサー」だ。

読者モデルからインフルエンサーへ

 インフルエンサーとは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や個人ブログなどで多くのフォロワー(読者)を抱える、影響力の大きい人物を指す。数あるSNSの中で福田氏が特に注目しているのは「インスタグラム」だという。インスタグラムは、自分の体験を写真に切り取ってビジュアルコミュニケーションを図るツール。そこに「いいね」をもらったりシェアしてもらったりすることで、コミュニティーが形成されていく。福田氏は「そのコミュニティーに企業が何らかのプロダクトサービスを差し込んでいくと、その影響と共感によってマーケティングが可能になる」と語る。

 インフルエンサーを起用したマーケティングの特徴は、消費者が宣伝者でもあることだと福田氏は言う。企業でいうところの「オウンドメディア」を個人が持っていると考えていい。「例えば水を買って、それを誰かに薦めたいと思ったら、写真を撮って発信できる。僕は純粋な消費者はもういない、消費と同時に宣伝が起きていると思っています。それがインフルエンサーマーケティングの仕組みです」(福田氏)。

立教大学で講義したとき200人ほどの学生がいたが、情報収集ツールについて聞くと70%くらいがSNSと答えると福田氏。ちなみに「Yahoo!」で検索する学生は4人だけだったらしい
立教大学で講義したとき200人ほどの学生がいたが、情報収集ツールについて聞くと70%くらいがSNSと答えると福田氏。ちなみに「Yahoo!」で検索する学生は4人だけだったらしい

消費はプロセス、ゴールは共感

 福田氏が手掛け、成功を収めた例に共感型フォトジェニック・アート展「ビニール・ミュージアム」がある。「17年に『インスタ映え』という言葉がはやりました。フォトジェニックな写真を撮って、インスタグラムで公開するという流れですね。そんな中で、インフルエンサーたちが“撮りどころ”を探していたんです。そこでビニール・ミュージアムでは、フォトジェニックなスポットがたくさんある空間を用意しました。来場客は写真を撮ってSNSに投稿する。来場客が宣伝もしてくれるということで、ノンプロモーションで集客できました」(福田氏)。さまざまなメディアが取材に訪れ、宣伝効果を広告費に換算すると約2億円に上るという。

 また福田氏は、アシックスと共同開発したスニーカーのマーケティングにもインスタグラムを活用した。「企業が『いいスニーカーです、買ってください』とプッシュしても共感されない」ということで、「毎週水曜日はスニーカー出勤というコンセプト」を打ち出し、インフルエンサーにスニーカー出勤している写真を投稿してもらった。それを見たフォロワーがスニーカーを買い、その写真を投稿する、それがまたマーケティングになるというわけだ。

 「インフルエンサーマーケティングにおける消費はプロセスにすぎません。ゴールは共感。消費の先に“体験してシェアしたい”と思わせることが重要です」(福田氏)。

ビニール・ミュージアムのインスタグラムより。3月9~28日は名古屋で、3月16~4月7日は大阪で開催の予定だ
ビニール・ミュージアムのインスタグラムより。3月9~28日は名古屋で、3月16~4月7日は大阪で開催の予定だ

マーケティング効果を共感指数で数値化

 福田氏は、自著『影響力を数値化 ヒットを生み出す「共感マーケティング」のすすめ』(日経BP社)で「共感」は5つの要素で構成されると述べている。インスタグラムにおけるインフルエンサーの影響力は、単にフォロワー数や「いいね」の数では測れないと指摘する。

 インスタグラムの膨大なデータを解析した結果、福田氏がたどり着いたのが「共感指数」だった。「影響の範囲(リーチ)、承認(アプルーバル)、発見(ハッシュタグ)、参考(キャプション)、印象(イメージ)の値。この5つがインスタグラムで共感をつくる要素です」と福田氏。共感指数の算出方法については書籍を参考にしてほしいとした。

福田氏は『影響力を数値化 ヒットを生み出す「共感マーケティング」のすすめ』で「共感」は5つの要素について解説している
福田氏は『影響力を数値化 ヒットを生み出す「共感マーケティング」のすすめ』で「共感」は5つの要素について解説している
実は公開収録では10分間のオフトークがあり、各要素の数値化の基準についての解説や参加者との質疑応答が行われた
実は公開収録では10分間のオフトークがあり、各要素の数値化の基準についての解説や参加者との質疑応答が行われた

(写真/志田彩香)

●関連サイト
ポッドキャスト番組「週刊日経トレンディ」
https://trendy.nikkeibp.co.jp/podcast/
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http://www.radionikkei.jp/trendy/