アドバイザリーボードに名を連ねる敏腕マーケターやテクノロジストは、どのような書籍や映画に触れ、どんな学びを得ているのか。夏休みシーズン到来の今、仕事に有用な絶対読むべき課題図書を挙げてもらった。第3回は、元西友、ドミノ・ピザ ジャパンCMOでプロフェッショナルマーケターの富永朋信氏、ソニー・ミュージックレーベルズ部長の梶望氏、studio-L代表の山崎亮氏による寄稿。

(写真/Shutterstock)

プロフェッショナルマーケター(元西友、ドミノ・ピザ ジャパンCMO)
富永 朋信 氏

【推薦図書】

『ツチヤ教授の哲学講義―哲学で何がわかるか?』(土屋賢二著、文春文庫刊)

 本書は、哲学者である土屋賢二氏のお茶の水女子大学での講義を基に、プラトンのイデア論からウィトゲンシュタインに至るまでの色々な哲学者の考え方を平易な言葉で解説したものです。

 私が生業とするマーケティングでは、ともすれば表面的な事象を対象とした対症療法が求められがちですが、真に解決すべき、創造すべきことは何か、という問いに基づく、真因・本質の追求なくしては、問題解決も価値の創出もできません。本書には、そのために考え抜く作法や、考え方の考え方が全編にちりばめられています。また、コンセプトや価値の記述を厳密に言葉で行うことを求められるマーケターにとって、「全ての哲学的問題は言語的に解決できる」という土屋氏の主張はとても痛快で、納得性があり、勇気付けられるものです。

 ちなみに『残像に口紅を』(筒井康隆著、中公文庫刊)でも、『ツチヤ教授の哲学講義』に共通する主張、すなわちマーケティングに限らず、世界の仕組みや構造に迫るときに言葉がいかに重要かということが、寓話的かつセンチメンタルに記されています。ご興味の向きは、ぜひ読み比べてみるのも一法かと思います。



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