1997年良品計画入社。店舗勤務や取引先商社への出向(ドイツ勤務)、World MUJI企画、企画デザイン室などを経て、05年、衣料雑貨のカテゴリーマネージャーとして「足なり直角靴下」を開発して定番ヒット商品に育てる。10年、WEB事業部長に就き、「MUJI passport」をプロデュース。15年10月にオイシックス(現オイシックス・ラ・大地)に入社し、現職に。早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了(MBA)。17年4月から一橋大学大学院商学研究科博士後期課程在籍中。同年10月、Engagement Commerce Lab設立。日本マーケティング学会理事。著書に『世界最先端の マーケティング 顧客とつながる企業のチャネルシフト戦略』(共著、日経 BP社) がある

これまで一番達成感を得た仕事は?

 30代は「足なり直角靴下」、40代前半は「MUJI passport」、40代後半は著書「世界最先端のマーケティング 顧客とつながる企業のチャネルシフト戦略」でした。達成感を感じるものに共通するものは次の3点です。
① 汎用性の高さ…ある程度長期間存在し、何度も見かける、使えるものを生み出すことの喜び。
② 良きパートナーの存在…上記の実績の全てに素晴らしい無数のパートナーが存在する。私一人の実績ではないことに対する感謝。
③ 挑戦することの大切さ Only One戦略…多くの人が見えていないことを見つけて、極めることの大切さ。

商品・サービス、事業開発で重要だと思うことを3つ挙げてください

 前問と同じく、以下の3点です。
① 汎用性が高く、持続性の高いモノやサービスを生み出すこと
② 良いパートナーを見つけて、大切にすること(成果は独り占めしない)
③ 挑戦、失敗を恐れないこと

これから仕掛けたいことは?

 ネット企業が考える新しいオフライン体験(店舗)設計

最近気になっている言葉や現象、技術は?

① 10年後には当たり前になっていそうな、スマートスピーカーをはじめとする、音声認識と新しい買物、カスタマージャーニー、プロダクトと消費者の「対話」
② 10年後にますます重要になっていそうな、「Engagement」
③ 人と人、人と企業、組織、ブランドとのつながりとCommunityの重要性

尊敬するマーケター、経営者、研究者…と、その理由は?

V. E.フランクル(1905-1997) 、「夜と霧」や「それでも人生にイエスと言う」の著者

 当然ながらお会いしたことはありませんが、厳しい人生の中で人間の本質に向き合った姿勢に尊敬の念を抱いております。いつも「それでも人生にイエスと言う」に出てくるこのセンテンスに勇気をもらっています。

 「私たちが『生きる意味があるか』を問うのははじめから誤っているのです。つまり、私達は生きる意味を問うてはならないのです。人生こそが問いを出し、私たちに問いを提起しているからです。私たちは問われている存在なのです」

最近、読んだ本で仕事の参考になったものは?

 糸井重里さんの「インターネット的」
 これからのお客様とのつながり方、未来の考え方を平易な表現で解説してくれるので、学生から同僚にまでおすすめできる。

AIDMAなどのマーケティング理論や法則で実践、重視しているものは?

 拙著で提唱している「チャネルシフト戦略」の実践。

トレンドをウオッチしている他業界は?

 当面はファッション業界におけるオムニチャネル化、チャネルシフト。今やコモディティ化し、シュリンクするマーケットであるが、今後お客様が主導権をもって、パーソナライズ化や新しいものづくりへの道がデジタルを通して実現し、「マーケットシェア至上主義」から「顧客のマインドシェア至上主義」の市場へと変わっていく。

直近のヒット商品、サービスで気になっているものは?

ミールキット市場
 料理の時短、献立を考えるのが面倒という発想から、今や「今日何を作ろう」ではなく「今日は何を食べよう」というマインドセットの変化からミールキットの登場が起こっている。料理をゴールの見えない作業から、楽しい食事を作るという楽しみに変えていく。弊社がその市場のリーダーになれる可能性を感じている。

記憶に残る広告コピーとその理由は?

「しゃけは全身しゃけなんだ」 
 前職であり、今も大好きなブランドの1つ。単なるコピーではなく、無印良品という「思想」(ブランド以上のもの)を体現している。時代を超えて無印良品のメッセージを伝える力を持つコピーである。