英語に堪能なスタッフがおもてなしする博物館

 鎌倉時代から江戸時代の侍文化を中心に日本の歴史と文化を紹介するこの博物館は、日本人観光客にはほとんど知られていないが、世界最大の旅行者のコミュニティーサイト「トリップアドバイザー」のランキング(2016年6月7日現在)では、東京の2151カ所の観光スポットのなかで、「根津美術館」「銀座」「東京駅丸の内駅舎」「渋谷駅前スクランブル交差点」などを抑えて堂々の14位、新宿に限れば「新宿御苑」「東京都庁舎」に次いで3位の人気観光スポットだ。

 なぜそこまで外国人観光客の支持を集めるのか、大人1800円の入場料を払ってライトアップされた甲冑を眺め始めてすぐ、その理由がわかった。

 係の人が笑顔で話しかけてきて、目の前の甲冑やその歴史的背景について、情熱こめて語り始めたのだ。豊富な知識もさることながら、侍や日本文化に対する熱い思いが伝わってきて、思わず聞き入ってしまった。

 外国人客たちも、つきっきりで流暢な英語で解説してくれる担当者とのやりとりに大満足の様子で、展示物を見終わると、担当者の名前を尋ねたり、一緒に写真を撮ったりしていた。

「世界中からのお客様に侍を知っていただくだけでなく、日本の“おもてなしの文化”に少しでも触れていただけるよう心がけています」と野口銀次朗サブマネージャーは胸を張る。

 昨年9月にオープンした当時、ほとんど客はいなかったが、口コミで評判が徐々に広がり、今では1日120人から130人、多いときには150人の入場者があるという。その6割が欧米やカナダ、オーストラリアからの観光客で、3割がフィリピン、インドネシア、タイ、シンガポールなど東南アジアの裕福な旅行客、あとの1割は香港、韓国、その他の国や地域からの観光客だ。

 そんな外国人観光客たちを心ゆくまで楽しませるために、英語が堪能な正社員も含めて常に8~9人が待機する体制を整えている。有料で戦国武将やお姫さまのコスプレ&写真撮影のできるコーナーや、プロの俳優によって1日に何回か催される殺陣のショーなどもあり、お土産品も充実している。ちなみに人気のお土産2トップは2500円の戦国武将フィギュアと6500円から75万円の模造刀だ。

 その徹底した「おもてなし」ぶりをみると「『どの博物館よりも楽しかった』とか『日本の旅行で一番いい思い出ができた』というお言葉をよくいただきます」という野口サブマネージャーの話もうなずけた。外国人観光客をこれほどフレンドリーな気分にさせてくれる博物館は、他にないだろう。

「SAMURAI MUSEUM」の展示物
「SAMURAI MUSEUM」の展示物
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野口銀次朗サブマネージャー
野口銀次朗サブマネージャー
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新宿らしい懐の深さが魅力の花園神社

 いかめしい甲冑に見送られながら、イケメンホストたちの看板に囲まれた角まで戻ると、ゴジラヘッドと反対の左方向に向かって歩いていく。

 新宿区役所通りを渡って数十メートル進んだら、一方通行の狭い道を右に曲がり、靖国通りへと戻るように歩いてゆけば、“ディープ・ジャパン・ツアー”の最後を飾るエリアに到着する。

 まずは、左側に現れた急な階段を上る。

 多くの外国人観光客が訪れる「東京新宿鎮座 花園神社」だ。

 花園神社は、徳川家康が江戸幕府を開く以前から新宿の総鎮守として重要な位置を占めてきた歴史あるパワースポットだ。また、唐十郎率いるアングラ劇団「状況劇場」の公演や「見世物興行」などに境内を提供するなど、いかにも新宿らしく、柔軟で懐の深い神社でもある。

東京新宿鎮座 花園神社
東京新宿鎮座 花園神社
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