誘い誘われ――イケメン選手の存在

 多くのプロスポーツで、新規顧客の開拓は課題だ。そのためにもターゲット層を明確にし、テレビCMや中づり広告などで消費者とのタッチポイントをつくろうと試みる。しかしBリーグの観戦に来たことがないライトファンには、「極論、情報は届かない」と葦原氏さんは言う。そこで重要になるのがコアファンのリコメンドだ。

 「初めて試合観戦に来たお客さんに来場調査をしたのです。最初はあの選手が好きだから、SNSで話題になっていたからと、来場理由を答えます。でも質問を重ねていくと、10人中10人が友人や恋人に『誘われたから』と言いました。ビックリしたと同時に、それが本質だと思ったんですよ。それからはライトファンに向けたマーケティングをほぼやめました。コアファンにどういう情報を伝えると、友人を誘いたくなるか、自慢したくなるか、SNSなどでシェアしたくなるか――。その視点を大事にマーケティング戦略を考えています」

 では、シェアをしたくなる、友達を誘いたくなる情報とは何なのか。

 「多くの人は、カッコいい趣味を自慢したくなるものです。プロジェクションマッピングの演出やストリート系のグッズ販売なども友達に教えたくなりますが、何よりBリーグにはイケメン選手が多いんです(笑)。最前列のシートは、イケメン選手を撮影するために集まった多くの女性客でにぎわっています」

 実は観客の女性比率が高いのもBリーグの特徴。来場者の女性比率は46%、1シーズン目の王者決定戦は20~30代の女性を中心に、50%を超えたという。

 また、バレンタインの時期に開催した2018年の「B.LEAGUEモテ男 No.1決定戦!!」では、“Bリーグイチのモテ男”を決めるために20万票超の投票が集まった。そこで1位に選ばれたのが比江島慎選手だ。コートの外では誠実で真面目な選手として知られ、プレーでは日本代表のエースとしても活躍し、1対1の圧倒的なスキルで観客を魅了する。そのギャップにひかれる女性客が多いのだという。

 「写真では分からない、プレーを見たからこそ伝わるカッコよさがあります。ぜひそのギャップを目の当たりにしてほしいです」(広報担当の兼井明子さん)

「B.LEAGUEモテ男 No.1決定戦!!」で1位に選ばれた比江島慎選手。シーホース三河所属。普段の人柄とプレーのギャップに魅せられる比江島ファンが続出しているという
「B.LEAGUEモテ男 No.1決定戦!!」で1位に選ばれた比江島慎選手。シーホース三河所属。普段の人柄とプレーのギャップに魅せられる比江島ファンが続出しているという
[画像のクリックで拡大表示]
試合後はハイタッチと見送りを欠かさない川崎ブレイブサンダース。ファンが直接「おめでとう」と声をかけたり、プレゼントを手渡したりできる。選手と距離が近いのもBリーグならでは
試合後はハイタッチと見送りを欠かさない川崎ブレイブサンダース。ファンが直接「おめでとう」と声をかけたり、プレゼントを手渡したりできる。選手と距離が近いのもBリーグならでは
[画像のクリックで拡大表示]

 Bリーグでは今後、リーグ統一の企画を全国の参加クラブで行う「B.FES」に力を入れている。3月9日から4月8日にかけて、「B.FES 2018春」が初開催され、「いまバスケで日本を盛り上げろ」をテーマに7つのイベントが行われる。注目なのは『スラムダンク』の作者である井上雄彦先生が描き下ろした限定Tシャツの配布もしくは販売。こちらもSNSなどで話題になりそうな企画だ。

 ゴールデンウイークに向けてリーグ戦も佳境を迎えたBリーグ。その最大の魅力は選手のプレーだ。実はバスケは、野球やサッカーと比べてコートが狭いこともあって観客と選手の距離が非常に近い。一度観戦して、その迫力に生で接してもらいたい。

(文/田中一成)

関連記事