鮮度は熟練に勝る!? ゆでたて、揚げたてを提供

 いわもとQを運営する「ライトスタッフ」(埼玉県吉見町)の創業者で社長の岩本浩治氏は、セブン-イレブンで店舗指導員を務めたあと、そのノウハウを基に経営コンサルタントに転身。自身のビジネスを立ち上げたのは、「立ち食いそばの価格で本格的な専門店の味に近いそばが出せたらすごいだろうと思ったのがきっかけ」(岩本氏)だという。ラーメン店に比べて数が少なく、「めん、つゆ、天ぷら、ご飯、この4つのポイントを押さえて品質の高いものを目指せば、なんとかいけるのでは」(岩本社長)と思ったとのこと。

 そこからリサーチを重ね、2年半後に前身となる店を東京・麹町にオープンさせたが、ランチタイム以外はガラガラ。平均すると、想定客数の3分の1以下だった。その反省を踏まえ、「夜でもお客が入る立地が大事」と2店舗目に新宿・歌舞伎町を選んだ。だが歌舞伎町でもさびしい通りで昼でさえあまり人が入らず、こちらもまた苦戦。そうしたなかで工夫を重ね、注文を受けてから作る方法に変えたところ、来客数が増えた。このことから「鮮度は熟練に勝る」と実感。鮮度を何より大事にするスタイルになったという。

 例えばそばは、どんなに店が混んでいても一度に4食分ずつしかゆでない。かけそばのつゆは香りが飛ばないように、注文後に加熱する。天ぷらも注文を受けてから揚げている。歌舞伎町店などは、外国人のグループ客が大勢で一度に入店する場合があるが、そうしたときは「券売機を止めてもいい」と伝えているそうだ。

 こうした方針を徹底させているため、混雑時には客を待たせてしまうこともある。テーブルにアンケート用紙を置き、来店客に注文してから受け取るまでの時間を書いてもらったところ、4分以内が6~7割、8分以内が3割弱、8分以上が1割弱だった。今後の課題は、鮮度を保ちつつ、注文を受けてから提供するまでの時間を短縮すること。「4分以内で出すべく最善を尽くせと、スタッフに伝えている」(岩本氏)。

 なぜこうしたやり方で、立ち食いそば価格で提供できているのか。「食材のランクを上げたり、熟練の職人を使ったりすると原価が高くなる。しかし『注文を受けてから調理して鮮度を守る』のであれば、スタッフの手間は増えるが、原価に影響はない」(岩本社長)。またメニューを増やさず、そばと天ぷらに限定し、集中してクオリティを高めたこともポイント。さらに土日や夜でも客が入るように、複数の路線が乗り入れる駅に近い立地を選んで出店し、夜メニューとして天丼に力を入れているという。

いわもとQの人気メニュー「天ぷらセット」(税込み580円)。天ぷらはエビ、キス、イカ、カボチャ、インゲンの5点盛り。天丼に合わせて衣を薄くしているため、軽く上品な仕上がり
いわもとQの人気メニュー「天ぷらセット」(税込み580円)。天ぷらはエビ、キス、イカ、カボチャ、インゲンの5点盛り。天丼に合わせて衣を薄くしているため、軽く上品な仕上がり
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いわもとQのそばはきりりとした細切りで腰が強い。のどごしの良さに驚いた
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立ち食いそばの“新勢力”が増殖中! 「いわもとQ」「嵯峨谷」は何が違う?(画像)
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そば湯はセルフで何度もおかわりできる。そばつゆ、生わさび、ユズ皮パウダーなども常備されている。生卵も無料
テーブルに塩が置かれているのが“塩そば”派にはうれしい。客の要望で取り入れたサービスとのこと
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