10万円前後のダウンが「ちょうどいい」

 カナダグースが大増殖した背景には、高級ダウンが幅広い客層に受け入れられやすい土壌がすでにできていたということもある。そのきっかけとなったのが、2016年に「国産高級ダウン」として大ブレークした「水沢ダウン」だろう。国産というだけでなく、生地に縫い目がないためストレッチ性があり、縫い目から雨が入らないので耐水性に優れているなどの機能面が支持され、2016年、2017年ともに売り上げは前年比約30%の伸び率だという。

「MIZUSAWA DOWN JACKET “ANCHOR”(アンカー)」(税別7万8000円)。水沢ダウン発売当初からあるベーシックモデルで、サイズはXXS〜XXXL。写真のブラックのほか、グラファイトネイビーなど全4色展開。フロントジッパー部分のベンチレーションで外から空気を取り込み、衣服内にこもった熱や湿気を逃がすことができる
「MIZUSAWA DOWN JACKET “ANCHOR”(アンカー)」(税別7万8000円)。水沢ダウン発売当初からあるベーシックモデルで、サイズはXXS〜XXXL。写真のブラックのほか、グラファイトネイビーなど全4色展開。フロントジッパー部分のベンチレーションで外から空気を取り込み、衣服内にこもった熱や湿気を逃がすことができる
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 水沢ダウンは2012年秋にセレクトショップでの流通を始めたことから認知が広がった。2015年秋には水沢ダウンを中心にファッション性の高い商品を取り扱う直営店を東京・代官山などに3店舗オープン。水沢ダウンを手がけるデサント マーケティング部の植木宣博マーチャンダイザーは「2016年は特に水沢ダウンを指名して買い求めにくる客が目立った」と話す。購買層の中心は40〜50代の男性だ。

 男性を中心に支持を集めるのは、「男性はもともとスペックが高い商品が好きな傾向にある。さらに、『どうせ買うなら意味のあるものを』と考える人も多い」と植木マーチャンダイザーは分析する。水沢ダウンの名前はデサントが持つ水沢工場に由来している。国産であること、さらに、水沢工場のみで作られているため生産数が少なく希少性が高いという点が、男性ユーザーに響くのではないかと考えているという。

 また、「私見だが、日本人にとって10万円前後のダウンが価格的に『ちょうどいい』のではないか」と植木マーチャンダイザー。「カナダグースをはじめ、以前から日本で人気のある北米や欧州のブランドは10万円前後の商品が多い。この価格帯で名前が通っているブランドは少ないので、水沢ダウンの認知が広がって、このゾーンに仲間入りができたのは大きかった」(同氏)。