AIとの会話は「愛」と「欲望」がカギ

 第2部は、「音声合成と自由対話AIが切り拓くAIキャラクタービジネス」をテーマに、ソニー・ミュージックコミュニケーションズの松平恒幸氏、SME井上敦史氏、emotivEの結束雅雪氏が登壇。「Xperia Ear」や「バーチャルアナウンサー沢村 碧」の音声データを担当する寿美菜子さんをゲストにクロストークを展開した。

 AIは会話を重ねることで学習し、対話精度が向上していく。しかし、人がAIに「飽きずに」話しかけ続けるには多くの動機が必要になる。それを解決するのがキャラクターだという。SMEがこれまで展開してきたAI×キャラクター事業から明らかになった例から読み解くと、どうやらキーワードは「愛」と「欲望」のようだ。

 井上氏は、2018年にマルイとのコラボ企画で実施した対話型AIサービス「罵倒少女:素子」の例を挙げてこの点を指摘する。利用者がサイトを通じてAIキャラクターの素子(もとこ)と会話できるという企画だったが、ユーザーが入力した上位10位の言葉に、「愛している」「好き」などがランクインした。「人はAIに愛をささやく」生き物であり、「30分以上会話を続けたユーザーは1万人以上、好きなキャラクターと話したいという欲求は強いモチベーションとなる」(井上氏)。この動機がAIとキャラクタービジネスの相乗効果を生むのだという。

寿さんが自身で音声モデルを務めた「バーチャルアナウンサー沢村  碧」とAIスピーカーで会話し、あらためてその技術の高さに驚く一幕も
寿さんが自身で音声モデルを務めた「バーチャルアナウンサー沢村 碧」とAIスピーカーで会話し、あらためてその技術の高さに驚く一幕も
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 最新の音声合成テクノロジーは、「ロボットっぽい」話し方から、劇的な進化を遂げてなめらかになった。こうした音声合成技術と高相性なのが、結束氏率いるemotivEの「自由対話AIテクノロジー」だ。AIは、言語構造をより高度に分析できるようになり、人の発話の意図を汲み取れるようになった。しかし、より自由度の高い対話には、さらに意図の根底にある「欲求」をくみとることが求められるようになった。そこでOMOHIKANEを開発した。

これまでの企画などについて説明するSME井上敦史氏(左)、右はemotivEの結束雅雪氏
これまでの企画などについて説明するSME井上敦史氏(左)、右はemotivEの結束雅雪氏
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 OMOHIKANEは、欲求や感情、記憶、分析といった人の認識をエミュレーションできるようにした。感情や経験を記憶として蓄積・分析・利用することで、AIに個性や人格が確立され、より人間らしい自由対話を可能にするという。対話AIビジネスをしたい企業に対し、対話AIの企画から運用までワンストップでサービスを提供する。AIスピーカーが提供するAPIを使う仕組みで、よりキャラクターの人格に近い対話AIをつくれるとのこと。自由対話が可能になったAIは今後どういうビジネスにつながるのか――「スマートスピーカーに、エージェントとしてキャラクターを立てることで、目的+αの価値生まれ、愛着も湧くはず」と松平氏。スマホやスマートスピーカーに搭載される、忖度(そんたく)するAIが生まれる日も近いかもしれない。

ソニー・ミュージックコミュニケーションズの松平恒幸氏。「OMOHIKANEは、IoTなどを舞台にスマホを飛び出して活躍するようになるのでは」と期待する
ソニー・ミュージックコミュニケーションズの松平恒幸氏。「OMOHIKANEは、IoTなどを舞台にスマホを飛び出して活躍するようになるのでは」と期待する
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(文/小西 麗)