修理工程の見える化で作業時間を短縮

 96時間での修理完了を実現するために、まずセンターに滞留している修理品の数を減らすことから始めたという。センター長に就任する3カ月前から小沼マネージャーと連絡をとり「最初は残業などの無理が生じることも覚悟してもらい、とにかく少しでも滞留している修理品の数を減らすことに努めてもらった」と語る。その成果もあり、センター長として就任した2016年4月には、滞留している修理品の数は、96時間修理完了サービスを十分に実施できるレベルまで減っていた。

 センター長に就任して最初に取り組んだのは、修理工程全体の見える化だった。埼玉サービスセンターでは、「入荷・検品」「診断」「修理」「クオリティコントロール(出荷前チェック)」「出荷」というセクションがあるが、96時間の修理を実現するために各セクションごとに作業の目標時間を設け、さらに、各セクションで費やしている時間などを細かく一覧にした。

 これにより、各セクションのリーダーを集めた会議で、明らかに時間がかかっている作業の原因を特定、対処することが可能となった。例えば、スタッフが休んだり、新人のトレーニングで作業に時間がかかっているなら、人員の不足しているセクションに他セクションからフレキシブルに人員を回す体制を整備した。また、診断の難しい修理品があり作業時間が増えた例も多く見受けられたので、難しい修理品があった場合は、すぐに高い技術力のあるスタッフに相談することを徹底させた。

 こうして、作業を遅らせている原因を一つずつ突き止め対処していった結果、何と1カ月で1台あたりの平均作業時間を前年実績の180時間から97時間まで短縮することに成功した。

 これは快挙といってもよいことだが、佐藤センター長は、96時間の目標を達成していないので、手放しで社員を評価することはしなかったという。努力は認めており感謝もしていたのだが、中途半端な達成感で向上心を失ってほしくなかったのだ。だから、目標は未達なので、より努力するよう促したという。ただ「少し厳しすぎるかな」という思いもあったと振り返る。

 しかし「自分たちの努力の成果が数字になって表れたことで、現場の雰囲気は明らかに変わった」と小沼マネージャーは語る。今までは先の見えない作業を延々と続けている状態だったが、目標が明確になったことで、社員1人1人が目標達成に向けて何をどうすればよいのかという、問題意識を持つようになった。迅速な修理のためにセクション間で密に連携するようにもなり、ときにはぶつかり合いながらも、一つの目標に向かって全員が邁進するようになった。

 こうした社員の意識改革もあり、就任最初の年で、無償・有償合わせて平均87時間での修理完了を実現した。この段階で、佐藤センター長は作業時間をより短縮できることを確信し、内部目標を無償・有償修理合わせて平均72時間に設定したという。

修理品はまず入荷セクションで検品され、修理品のデータベースへ登録される
修理品はまず入荷セクションで検品され、修理品のデータベースへ登録される
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登録が終わった製品は診断セクションで、ユーザーから申告されたトラブルが再現される。また、そのほかに異常がないかもくまなくチェックされる
登録が終わった製品は診断セクションで、ユーザーから申告されたトラブルが再現される。また、そのほかに異常がないかもくまなくチェックされる
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修理内容が確定したら、いよいよ修理がスタート
修理内容が確定したら、いよいよ修理がスタート
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修理が完了したら、クオリティコントロールセクションで修理ミスがないかなど詳細にチェック
修理が完了したら、クオリティコントロールセクションで修理ミスがないかなど詳細にチェック
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クオリティコントロールをパスした製品は、必要に応じてクリーニングが施され、梱包されたあと出荷される
クオリティコントロールをパスした製品は、必要に応じてクリーニングが施され、梱包されたあと出荷される
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