「正直、この2年で伸ばしすぎた」

 ものづくりに対する考え方や姿勢がヒット商品を生み続けていることも見逃せない。同社では「ブームに終わらず、長く売り続けるためのものづくり」を重視。トレンドをほどよく取り入れたシンプル&ベーシックな定番商品が中心で、3~5年以上売れている品番が多い。口金リュックで一躍有名企業となったが、これまでにも100万個販売したヒット商品がいくつかあるという。

 「ゆっくりでいいので長く売り続けるのが当社の文化。発売していきなりヒットするというよりは、じわじわと売れてあるときに火がつくことが多い」と吉田社長。実際、口金リュックも発売直後はひと月に5000個ペースだった。それが翌年春に月5万個売れ始め、最近では月20万個ペースで売れている。

 長く売り続けるために欠かせないのが、顧客の声を反映したマイナーチェンジの積み重ねだ。例えば、口金リュックは当初、背面左脇にファスナーはなかったが、1年後には背負ったままでモノを取り出せるようにし、利便性を高めた。新作には、ノートパソコン収納用のポケットも付いている。

 こうした地道な企業努力の結果、同社の2017年6月期売上高は118億円を達成。2年前に比べて2.7倍に急伸した。海外市場については、昨年10月、タイの企業と提携し、オフィシャルショップをオープン。タイ国内では40万本売れているほか、香港やフィリピンでの販売も本格化しているという。

 「正直、この2年で伸ばしすぎたと思っている。今期は社内体制を整備し、ふんどしを締め直してなだらかな成長に持っていきたい」と吉田社長。とはいえ、グローバル旗艦店の繁盛ぶりを見るかぎり、その成長スピードは当分減速しそうにない。むしろ、ブランドとして確立されたいまからの展開が楽しみなブランドだ。

「なだらかな成長をめざす」と話すキャロットカンパニーの吉田剛社長
「なだらかな成長をめざす」と話すキャロットカンパニーの吉田剛社長
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(文/橋長初代)