子育てママと海外で広まったアネロ旋風

 口金リュックが爆発的なヒットとなったアネロだが、実はブランドがスタートした2005年から売れ続けているという。もともとは20歳前後の男女がターゲットで、安さと使いやすさから学生の愛用者が多かった。さらに、東日本大震災を機にリュックのニーズが急速に高まり、女性にとって持ちやすいリュックとして注目されるようになった。

 アネロ旋風が巻き起こったのは、2014年11月に口金リュックが発売されてからだ。「リュックの上部が口金型でガバッと開くので、モノの出し入れがしやすく、探しやすい。哺乳瓶や子供の玩具をすぐ取り出せると、子育て中の若いお母さんたちから支持され、それまで扱っていなかったバッグ専門店や百貨店などにも売り場が広がっていった」と、同社の吉田剛社長は振り返る。

 同じ時期、香港の人気ブロガーがマザーズバッグとして口金リュックの使いやすさをSNSで発信。台湾やタイなどアジアに人気が拡大するきっかけとなり、業者も含め日本に買いに来る人が増えた。

 同社のビジネス形態が卸事業だったことも、ヒットの一因といえる。近年、ファッション業界では自社で企画製造するSPA(製造小売業)が主流だが、店舗がないエリアでは認知度が低くなる。一方、卸ビジネスはブランドの世界観を表現できないなどのデメリットはあるが、全国の専門店で販売できる。同社は雑貨店やアパレル専門店を中心に、全国に販売チャネルを展開。エンドユーザーがアネロブランドを目にする機会が多かったことも、SNSの拡散スピードを加速した。

 「街で最近よく見かけるが、どこのブランド?」という投稿にみられるように、謎のブランドながら高い認知度だったのは、そんな背景があったからだ。

「リュックの上部がガバッと開くので哺乳瓶などを取り出しやすく、前面のポケットも大きめで使いやすい」と吉田社長
「リュックの上部がガバッと開くので哺乳瓶などを取り出しやすく、前面のポケットも大きめで使いやすい」と吉田社長
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アネロのシンボル的アイテム「ポリエステルキャンバス口金リュック」。背負ったままでも片手で出し入れできる背面直結ファスナーもついている。4500円
アネロのシンボル的アイテム「ポリエステルキャンバス口金リュック」。背負ったままでも片手で出し入れできる背面直結ファスナーもついている。4500円
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