阪急のオンリーワン戦略で初タッグ

 即席麺最大手と百貨店という異色のコラボが実現したきっかけは、阪急サイドからの提案だったという。同店は12年秋の建て替えオープン以降、グリコの高級ポッキー「バトンドール」やカルビーの新感覚ポテトチップス「グランカルビー」などの限定販売の「オンリーワン商材」を次々と開発。いずれも発売当初から話題を呼び、大ヒットを飛ばしてきた。

 「オンリーワン商材として扱うのは、誰もが知っているブランド。すでに知られているブランドに、2社のフィルターをかけることで驚きと発見が生まれる。それを限定販売することで話題を呼び、購入するためにさらに行列ができる。このオンリーワン商材をカップヌードルで作りたいとお願いしたところ、二つ返事で受けてもらえた」(阪急阪神百貨店フード新規事業開発部ディビジョンマネージャーの馬場淳士氏)

 日清食品にとっても、阪急うめだ本店に常設店を構えるのは願ってもないチャンスだった。インスタントラーメンは通常、スーパーマーケットやコンビニを主販路とするため、「(モモフクヌードルで)既存客とは異なる新たな客層の獲得を狙う」と、藤野部長は期待を寄せる。

 実は、阪急百貨店と日清食品の取り組みは、今回が初めてではない。1958年に安藤百福氏がインスタントラーメン「チキンラーメン」の開発に成功し、試食販売会場として選んだのが阪急うめだ本店地下食品売り場なのだ。その後、チキンラーメンが世界食となったのは誰もが知るところ。60年の歳月を経て、今度はカップヌードルの概念を変える新商品が、同じ食品売り場に登場したというわけだ。

2018年10月3日、阪急うめだ本店地下惣菜売り場にオープンした「モモフクヌードル」のショップ。カスタマイズしたい場合は、左側に並んで1人ずつ注文する。おすすめセレクトやギフトセットは右側のレジで購入できる。なお、店頭で湯は提供しない
2018年10月3日、阪急うめだ本店地下惣菜売り場にオープンした「モモフクヌードル」のショップ。カスタマイズしたい場合は、左側に並んで1人ずつ注文する。おすすめセレクトやギフトセットは右側のレジで購入できる。なお、店頭で湯は提供しない
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ターゲットは「カップヌードルを食べない女性と若者」

 ターゲットは、百貨店に来店する20~30代のミレ二アル世代と40~50代の主婦層。この層はあまりカップ麺の消費量が多くないというが、「普段あまり食べない人たちにもぜひカップヌードルを食べてもらいたいが、単に『カップヌードルの高級版』を作っただけでは話題にならない」と藤野部長。

 即席麺市場では袋麺が縮小傾向にある一方、カップ麺はここ数年、売り上げを伸ばしている。だが、健康意識が高く、加工食品に対してマイナスイメージを持つ百貨店の中心客層を取り込むには、加工食品の概念を変えるようなインパクトが必要だった。

 「便利なだけでなく、食べることで楽しくなり、おなかも心も満足するようなカップ麺ができないか」(藤野部長)。そこで浮かんできたのが、加工食品とは真逆のイメージがある「ナチュラル」というテーマだった。

ミレニアル世代と主婦層を狙い、パッケージもナチュラルでおしゃれなデザインに
ミレニアル世代と主婦層を狙い、パッケージもナチュラルでおしゃれなデザインに
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