iPhoneの新モデルより気になる官房長官の発言

 これまでを振り返ってみると、ソフトバンクは毎年、アップルがiPhoneの新モデルを発表した直後に新料金プランを打ち出していた。実際、2017年の「ウルトラギガモンスター」の発表も、アップルが「iPhone X」などの新モデルを発表した直後だった。

 大手キャリアの中でもiPhoneユーザーの占める比率が高いといわれているソフトバンクだけに、iPhone商戦を重視して新しい施策を導入してきたのは理解できる。にもかかわらず、今年は新iPhoneの発表前に新料金プランを発表したのはなぜか。

 筆者は、8月21日に菅義偉官房長官が「日本の携帯電話料金は4割程度引き下げる余地がある」と発言したことが大きく影響していると考える。実際、この発言を機に、総務省は情報通信審議会を開き、携帯電話料金の在り方などについての議論を開始した。

 2015年にも安倍晋三首相の携帯電話料金引き下げ発言を受けて、総務省は有識者会議を開催し、端末の実質ゼロ円販売を事実上禁止するガイドラインを提示した。今回の菅官房長官の発言からも、行政がキャリアに対して何らかの厳しい措置を採るとみられているため、ソフトバンクとしては先手を打って新料金プランを提示したのだろう。

 ここ数年、総務省と公正取引委員会は携帯電話業界に対して厳しい目を向けており、2018年に入ってからも総務省によるキャリアへの行政指導があったほか、公正取引委員会も独占禁止法の疑いでアップルを調査したことを公表した。キャリアの戦うべき相手は当面、ライバルのキャリアではなく行政ということになりそうだ。

ソフトバンクのもう1つの新料金プラン「ミニモンスター」は、1GBからの4段階制を採用した、あまりデータ通信を利用しない人向けのプランだ。画像は2018年8月29日の“ソフトバンク”の新サービスに関する記者発表会・プレゼンテーション資料より
ソフトバンクのもう1つの新料金プラン「ミニモンスター」は、1GBからの4段階制を採用した、あまりデータ通信を利用しない人向けのプランだ。画像は2018年8月29日の“ソフトバンク”の新サービスに関する記者発表会・プレゼンテーション資料より
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