畑の生の姿、生の声が伝わる

kakaxiの農場用デバイス
kakaxiの農場用デバイス
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 kakaxiは、農場用のデバイスと消費者向けのスマホアプリがセットとなったサービス。農場用のデバイスは、カメラや日照計、雨量計などに加えて3Gの通信機能も内蔵しており、タイムラプス(一定間隔での連続撮影)動画の撮影も可能。このデバイスで集めたデータや写真、動画を消費者のアプリにリアルタイムで配信し、「生産者と消費者の心理的な距離を縮める」(kakaxi・米国法人CEOの大塚泰造氏)のが狙いだ。

kakaxiの消費者向けのスマホアプリ
kakaxiの消費者向けのスマホアプリ
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 実は、大塚氏を含むkakaxiのメンバーの一部は、東日本大震災後の13年7月にスタートした「東北食べる通信」に携わるメンバーでもある。東北食べる通信は、取材を基に生産者の声を伝える紙媒体がセットになった、サブスクリプション(定期購入型)の食材宅配サービスだ。

大塚氏も携わる「東北食べる通信」
大塚氏も携わる「東北食べる通信」
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 現在では約1500人の会員を集め、会員募集をストップする時期もあるほど好評。全国各地にライセンス方式で「食べる通信」を広げるなど、成功を収めている。しかし、綿密な取材活動と編集作業、印刷工程を必要とするため、「より大きな規模に育てるには限界がある」(大塚氏)。そこで、デバイスとアプリを使い、生産者と消費者を直接つなぐことを考えたのだ。これならデバイスの数さえ確保すれば、生産者やユーザーがどれだけ増えても、常に畑の生の姿、生の声を伝えることができる。

kakaxi米国法人CEOの大塚泰造氏
kakaxi米国法人CEOの大塚泰造氏
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 米国では、CSA(Community Supported Agriculture)と呼ばれる農業形態が注目を集めている。消費者が生産者と直接契約し、一定の費用を支払って生産者を支える代わりに、新鮮な野菜を定期的に届けてもらったり、希望の農産物を作ってもらったりするスタイルのことだ。現在、米国では約6000もの農家がCSAを手がけ、「新規就農者のおよそ7割がCSAを選ぶ、というデータもある」(大塚氏)。大塚氏は、kakaxiのアイデアを試すにはこのCSAが最適と考え、まず米国でのサービス展開を狙う。すでにKickstarterでのクラウドファンディングにも成功、今年の7月以降には具体的なサービスが立ち上がる予定だ。

 もちろん米国だけで終わるつもりはなく、「今年は日本でも違ったかたちでkakaxiの展開を計画している」(大塚氏)という。「これまでは話題を集める生産者がいても、すぐ過去の人になってしまうのが常だった。今後はkakaxiを通じて、生産者と消費者が常に関係性を保ち続けられる状況を作りたい」(同)。

 

(文/有我武紘=日経トレンディ)