出生率の低下が目立ってきた米国で注目を集めるのが「ベビーテック」と呼ばれるテクノロジー分野。子供を授かるまでの不妊をサポートするプロダクト、妊娠中の胎児モニタリング、ウエアラブル搾乳機などさまざまだが、親子双方に快適な睡眠をもたらす“スマートゆりかご”も話題の製品だ。

先進国の中で出生率が比較的高いことで知られる米国でも、いよいよ出生率の低下が深刻化し始めている。米疾病管理予防センター(CDC)によると、2017年に誕生した新生児の数は1987年以来最低となり、出生率は1.76まで低下した
先進国の中で出生率が比較的高いことで知られる米国でも、いよいよ出生率の低下が深刻化し始めている。米疾病管理予防センター(CDC)によると、2017年に誕生した新生児の数は1987年以来最低となり、出生率は1.76まで低下した

 米国の出生率は2010年を境に緩やかに下降線をたどっており、特に家賃などの生活コストが高いことで知られる西海岸と東海岸の都市部では、その低さが際立っている。40代を除く全ての世代で出産率が低下しており、その背景には、長らく続く不景気や08年の金融危機の影響で金銭的な余裕がない若者が増加していることがあると考えられる。40代での出産が4%増加しているのは、夫婦共にキャリアや収入に余裕ができてから子供を得るカップルが増えているからだろう。

 『The Happiest Baby On The Block』の著者で、人気小児科医のハーウェイ・カープ氏は、「100年前までは1人の子供に対し、母、祖母、叔母、年上の娘など平均4~5人で子育てをしていたが、現在はよほど裕福でない限り十分な人手を得られないなかで、ほとんどの両親が疲れ果てながらギリギリの環境で子育てをしている」と話す。

 カープ氏は、乳児を素早くあやしたり、より長く寝かしつけたりする方法に詳しく、数千ものカップルの悩み相談に乗ってきた。両親が心身共に健康な状態で子育てができるよう、夜間における両親の十分な休息と、乳児の安全な睡眠をサポートするテクノロジーを活用したプロダクトが必要だと強く感じ、5年の歳月をかけてスマートスリーパー「SNOO(スヌー)」を開発。米Happiest Baby(ハピエストベイビー)から2016年に発売した。

 スヌーは生後6カ月までの乳児を素早く寝かしつけ、安全に長く眠るのを助ける、いわば“スマートなゆりかごだ”。体をぎゅっと包み、静かにさせて、緩やかに揺らし、子宮に似せた環境をつくり出す。これにより、泣いていた乳児も落ち着いて素早く眠りに落ち、そのまま長く眠れる仕組みだ。乳児は生まれた後も当分、子宮内にいた頃からさほど成長しない状態が続くため、できるだけ子宮内に近い環境を実現できるようにしているという。

 毎年、米国では乳児が3700人ほども死亡しており、その20%が寝返りが原因であるという。また、いまだ原因がはっきりしていないSIDS(乳幼児突然死症候群)も、あおむけ寝によって発生を軽減できることが明らかになっている。スヌーのベッドに固定可能な専用のお包みは、危険な寝返りを防ぐ役割も果たしており、両親の精神的な負担の軽減にも効果がある。