花王とプロクター・ギャンブル(P&G)ジャパンが新商品を相次いで投入するなど、話題の多い2019年春の洗濯洗剤市場。そんな中、速乾性と触感という新たな価値創造で一足先に売れ行きを伸ばしているのがライオンの「トップ ハレタ」だ。

2018年8月にライオンが発売した「トップ ハレタ」。パッケージデザインにはかわいいキャラクターを採用
2018年8月にライオンが発売した「トップ ハレタ」。パッケージデザインにはかわいいキャラクターを採用

 洗濯洗剤シェアで30年トップをひた走る花王「アタック」が19年4月1日、「アタックZERO」にブランドを刷新。P&Gも「アリエールプラチナスポーツ」を19年2月投入した(関連記事「洗濯の常識を変える 花王「アタックZERO」のマーケ戦略」「スポーツウエアを強力消臭 P&G新アリエールは高額商品で勝負」。

 アタックZEROやアリエールプラチナスポーツとは違う切り口の付加価値で勝負するのがライオンだ。同社は「部屋干しでも90分早く乾く速乾性と太陽の下で干したようなカラッとした触感」を売りにした、「トップ スーパーNANOX」「トップ HYGIA」に続く第3の超コンパクト洗剤「トップ ハレタ」を18年8月に発売した。

 ハレタの開発は13年にスタート。当時ライオンは、洗濯洗剤のニーズが「洗浄力」「抗菌力」「エンジョイハッピー」の3つに大別されると考えた。エンジョイハッピーとは「洗濯が楽しい」と感じられる付加価値のことだ。

開発当初である13年の洗濯ニーズ構成比
開発当初である13年の洗濯ニーズ構成比

 3つのニーズのうち洗浄力はNANOX、抗菌力はHYGIAでカバーし、エンジョイハッピーは香りで訴求しようと柔軟剤入り液体洗剤の「香りつづくトップ アロマプラス」を発売した。だが、「香りは競合も多く、しかも柔軟剤のほうが香りに対するニーズが大きかった」と、ライオンファブリックケア事業部ブランドマネジャーの金子智之氏。エンジョイハッピーを実現する戦略の変更を迫られていた。

 そこで、ライオンはエンジョイハッピーについて調査した。「UVブロック」「リンクル(シワ)ケア」「リペア(ダメージケア)」「着心地」「太陽に干したふわカラ感」の5つの価値のうち、消費者の求めているものが「太陽に干したふわカラ感」であることを突き止めた。金子氏によると、「『カラッと乾くこと、太陽の下で干したような触感になること』は、洗濯に達成感をもたらすことが明らかになった」という。

 洗濯に達成感がない理由は、日本の天候の不安定さや共働き世帯の増加などで、部屋干しをする人が多いからだ。ライオンによると、「部屋干しのみ派」と「外干し+部屋干し派」を合わせて、9割以上の人が部屋干しをしていることが分かった。一方で、92%は部屋干しに不満があり「乾きにくい」が一番の悩みだという。

 「家事の中でも洗濯にかかる時間が最も長く、洗濯物の乾きにくさは生活リズムに影響を及ぼす。洗濯で生活リズムを崩されたくないというニーズは強いことが分かった」(金子氏)。その結果、従来の洗剤より90分早い速乾性と、汚れを落としつつ繊維を立ち上げる独自の「カラふわ成分」を配合し、太陽の下で干したようなカラッとふんわりした「晴れ干し触感」を実現する洗剤が誕生した。

ライオンファブリックケア事業部ブランドマネジャーの金子智之氏
ライオンファブリックケア事業部ブランドマネジャーの金子智之氏

洗濯中のイライラをハッピーに

 エンジョイハッピーを使命に開発したトップ ハレタには、洗濯のストレスを軽減するための工夫も随所にちりばめた。パッケージデザインにはかわいいキャラクターを採用し、液体はピンク色に、計量は線と数字ではなくハートの数で分かるようにして、洗濯開始時も幸せな気持ちになるようにした。

かわいいパッケージデザイン、ピンクの液体、ハートの数で量る軽量キャップで開始時から幸せな気分に
かわいいパッケージデザイン、ピンクの液体、ハートの数で量る軽量キャップで開始時から幸せな気分に

 また、カラふわ成分により洗濯物が絡まりづらいので、洗濯機からの取り出しも楽にできる。青山学院大学との共同研究では、縦型洗濯機から洗濯物を取り出す時間が平均で10秒短縮され、利き手と反対側の手の動きも減ったという。

 カラッとふっくらした触感は、利用者の心理状態にも好影響をもたらす。取り込むときやたたむときに「緊張・不安」といった因子が大幅に減少し、ストレスが軽減されると分かった。

 ネーミングでも利用者が前向きな気持ちになれる点を重視した。「ハレタと発音すると、パンっと広げて干した洗濯物が陽光で心地よく乾くイメージを抱くことが分かった」と、金子氏は話す。

洗濯工程全体をエンジョイハッピーに
洗濯工程全体をエンジョイハッピーに

発売1カ月半で市場平均を上回る成長率

 18年8月の発売以降、売り上げは好調。発売1カ月半でライオンの超コンパクト洗剤売り上げの伸長率が、超コンパクト洗剤市場平均の成長率を上回ったほどだ。「過去1年間は非濃縮タイプを使用しており、直近半年で濃縮タイプにスイッチした人のうち、約半数がハレタを選んでいる」と、金子氏は反響の大きさを指摘する。

 18年に新価値を宣言し成功したトップ ハレタ」。19年はさらなる独自化路線を図り、20年には「仕上がりの良さ」や「気持ちや気分が上がる洗剤」という“新価値洗剤”でナンバーワンになり、定着を目指す。金子氏は、「寒い日や花粉、その後は梅雨といった季節需要を捉えた提案を売り場で展開し、コミュニケーションはテレビCMとデジタルコンテンツ両面で展開していく」という。

 デジタルコンテンツとして、19年1月に公式LINEアカウント「ライオン ランドリー」を開設し、洗濯に関する悩みを相談できたり役立つ情報を発信したりしている。無料のスタンプが好評で、開設初日で登録者数は100万人を超え、現在は210万人にのぼる。

 トップブランドは、洗浄力、抗菌力、新価値のそれぞれで商品をラインアップ。19年4月24日には、非濃縮タイプ「トップ クリアリキッド」に抗菌力を加えた「トップ クリアリキッド抗菌」を発売し、さらなるシェア拡大を狙う。

(画像提供/ライオン)