サントリー食品インターナショナルは2019年4月16日、「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」から同社初の缶入り濃縮タイプ麦茶を発売。紙パックタイプや大型ペットボトルが抱える手間や重さ、保管場所の問題解消を図る。好調なペット入り麦茶市場において、さらなる成長を目指す。

 「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶 濃縮タイプ」は、1~2リットルの水に混ぜるだけで手軽に冷たい麦茶が作れる。サントリー食品インターナショナルブランド開発事業部課長の高原令奈氏は、開発に当たり「既存のペットボトル商品『GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶』の味を再現することを最優先した」と話す。缶入りにすれば保存料を加える必要がないため、原材料はペットタイプと同じ。水の量によって好みの濃さに調整できるのもポイントだ。

麦茶消費の多い子育て世代がターゲット

 サントリー食品インターナショナルが行った家庭調査によると、子育て世帯は1日3~4リットルの麦茶を飲んでいることが分かった。コスト面から水出しや煮出し用紙パックを使用するものの、それでは足りないため、2リットルのペットボトルと併用している家庭が約6割も存在したという。

 「紙パックのネックは手間と時間。水出しは抽出時間が長く、煮出しは冷ます時間が必要ですぐに対応できない」(高原氏)。一方で重くてかさばるペットボトルは、保管場所の確保や一度に大量購入ができないなどの問題があるという。

 そこで「両方の不足点を補う商品があれば需要があるのでは」(高原氏)との発想から、開発に至ったという。濃縮タイプは缶を開ければ手間なく麦茶が作れ、紙パックよりも簡便性が高い。高さ10センチと場所を取らないので、ペットボトルより保管しやすく持ち運びも楽だ。濃縮タイプ6缶で、2リットルペットボトル6本分の麦茶ができるという。保管期間もペットボトルが18カ月なのに対し、濃縮タイプは24カ月に延び、「備蓄にも適している」(高原氏)。

缶を開けて水に注げばすぐに冷たい麦茶が作れる
缶を開けて水に注げばすぐに冷たい麦茶が作れる
重さは2リットルのペットボトルの10分の1に
重さは2リットルのペットボトルの10分の1に

 SNSでは濃縮タイプについて「便利」「助かる」の他、「濃さを調整できるのもうれしい」など味を評価する声も多かった。「ママ友の『麦茶を作り続けた夏が終わった』という言葉を聞いて、自分を含め同じ(面倒な)思いをしているお母さんやお父さんたちを救いたいという気持ちで開発した」と高原氏は振り返る。

 コスト面での紙パックとの競合や、2リットルペットボトルとのカニバリ(共食い)について高原氏は、「時短面を重視する需要は必ずある。より簡便性を求める場合はやはりペットボトルが勝るが、用途や場面によって使い分けてもらえるはず。両方でさらに成長を目指したい」と共存可能とみる。

サントリー食品インターナショナルブランド開発事業部課長の高原令奈氏
サントリー食品インターナショナルブランド開発事業部課長の高原令奈氏

すっきりが人気、拡大続けるペットボトル麦茶市場

 サントリー食品インターナショナルによると、ペットボトル麦茶市場は14~18年の4年で2倍に伸びたという。健康志向の高まりから、特に子育て世帯でカフェインを避ける傾向にあり、家で飲むお茶が緑茶から麦茶に移行したことや、共働き世帯の増加で時短や簡便性に対するニーズが高まった結果だと同社は分析する。最近は熱中症対策が叫ばれ、水分補給への意識が高まったことも影響しているという。

 GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶は13年の発売以来2ケタ成長を続け、4年間で市場平均の約1.5倍もの成長を遂げた。高原氏はヒットの理由を「すっきりとした飲み口と、『やさしい』という言葉が受け入れられた。味と情緒面で支持されたのだろう」と説明する。

 ターゲット層が普段家庭で飲む麦茶は、水出しタイプが多いという。紙パック入り麦茶では抽出の仕方で味が変わる。水出しタイプはすっきりとした味わいで、煮出しタイプの味は濃くえぐみも強くなる。そうした中、やさしい麦茶はすっきりを好む若い世代の嗜好をとらえた。

2013年の発売以降、毎年2ケタ成長を続けている。「20年には1億ケース規模になる」(高原氏)と見込む
2013年の発売以降、毎年2ケタ成長を続けている。「20年には1億ケース規模になる」(高原氏)と見込む
すっきりした味と“やさしい”という情緒価値が支持された
すっきりした味と“やさしい”という情緒価値が支持された

 主な販路はスーパーやドラッグストア、ホームセンターといった専門店や量販店。その他、ECサイトでも販売する。同ブランドのCMキャラクターを務める幼い子供の姉妹が、作り方を説明する動画を配信し、テレビとデジタル両面でコミュニケーションを展開。パッケージには、缶の上部に「水とまぜて、すぐできる!」と明記し、濃縮タイプであることをアピールする。

 高原氏によると、「気温が高くなってくると、通年で麦茶を飲む人に加えて夏だけ飲む消費者が流入する。夏場だけで、他の季節の3~4倍の売れ行きになる」という。すでに日中の気温が20度を超える日が続き、超大型連休も控える。手間なくすっきりした麦茶を作れる濃縮タイプを持ってレジャーに行く人もいるだろう。忙しい子育て世帯にいかに浸透していくか注目だ。

(画像提供/サントリー食品インターナショナル)