QRコード決済アプリ各社による顧客獲得競争が激化している昨今、キャッシュレス決済の導入を検討している企業は多い。ではキャッシュレス決済の導入が求められているのは、どんな業種なのか。エプソン販売が実施したキャッシュレス決済の利用実態調査から、その答えが見えてくる。

20~50代の男女5255人のうち、キャッシュレス決済をすでに利用している人は約67%。利用したいという人は79%に上る
20~50代の男女5255人のうち、キャッシュレス決済をすでに利用している人は約67%。利用したいという人は79%に上る

「現金支払いのみの店舗は入店をためらう」人は5割

 2019年3月27日、セイコーエプソンの販売子会社、エプソン販売(東京・新宿)がキャッシュレス決済の利用実態を発表した。調査の対象はキャッシュレス決済を利用している20~50代の男女500人。その約7割が「外食費(ランチ代・飲み代など)」にキャッシュレス決済を利用したいと考えており、約5割が「現金支払いのみの店舗は入店をためらう」と答えたという。

 店舗のキャッシュレス決済化は外食時の店舗選びや金銭感覚にも影響するようで、約50%が現金支払いのみの飲食店は入店をためらうと答えている。また「少し値段が張るメニューにもチャレンジしやすくなる」「他の人に気楽にごちそうできるようになる」と回答した利用者がそれぞれ46%、44%に上った。

外食費の支払いにキャッシュレス決済を利用したいと考えている人は73%に上る
外食費の支払いにキャッシュレス決済を利用したいと考えている人は73%に上る
「現金支払いのみの店舗は入店をためらう」と回答した人は50%。「少し値段が張るメニューにもチャレンジしやすくなる」「他の人に気楽にごちそうできるようになる」と回答した人が半数近くいることからは、電子マネーでの支払いとなると財布のひもが緩くなる傾向が見て取れる
「現金支払いのみの店舗は入店をためらう」と回答した人は50%。「少し値段が張るメニューにもチャレンジしやすくなる」「他の人に気楽にごちそうできるようになる」と回答した人が半数近くいることからは、電子マネーでの支払いとなると財布のひもが緩くなる傾向が見て取れる

 キャッシュレス決済を利用したい理由については、素早く会計ができることや手持ちの現金を気にしなくて済むことが挙がった。同調査では「ランチタイムのときには店舗が混んでいるが、キャッシュレスになったらカウンターで待つ時間の短縮にもなると思う」(40歳女性)、「財布の中身を気にせずご飯に行ける」(25歳女性)といった利用者の声を紹介している。

外食のシーンで現金が足りなくて困った経験がある人は4割弱。20代が多い理由については、「もともとの収入が少ない」「クレジットカードを持っていない」などの理由も考えられるが、キャッシュレス決済に慣れているのであまり現金を持ち歩かないという側面もありそうだ
外食のシーンで現金が足りなくて困った経験がある人は4割弱。20代が多い理由については、「もともとの収入が少ない」「クレジットカードを持っていない」などの理由も考えられるが、キャッシュレス決済に慣れているのであまり現金を持ち歩かないという側面もありそうだ

キャッシュレスに踏み切れない飲食店が多い

 IT(情報技術)導入・活用支援コンサルタントの水谷哲也氏は、消費者意識の変化について「コンビニでも公共交通機関でも電子マネーで支払えば会計が済むようになり、財布にいくら現金が入っているか気にしない時代になった。現金なら“持ち合わせの範囲内で”という自制が働くが、電子マネーでの支払いとなると財布のひもが緩くなる傾向がみられる」と話す。

 一方、個人経営の飲食店とってのキャッシュレス決済は、閉店後にレジ締めにかかる時間を短縮できることに加えて、銀行の夜間金庫に売上金を預けに行く手間がなくなる、お釣りのミスが減る、お釣り用の小銭の用意が不要になるといったメリットがある。さらに決済した時刻が明確になることで、時間帯別の来客数や売り上げの“見える化”ができ、店舗経営の方針を立てやすくなることも大きいと水谷氏は言う。

 水谷氏はまた、キャッシュレス決済ができないと消費者に選択してもらえない恐れがあるため、キャッシュレスに対応したほうが良いことは分かっているが、踏み切れない飲食店が多いのが現状だとも述べている。