毎年4月に伊ミラノで開催される「ミラノ国際家具見本市」。市内全域で同時開催される「ミラノデザインウィーク」と併せ、家具およびデザイン関連としては世界最大級の規模を誇るイベントだ。2019年も多くの日本企業、デザイナーが参加する予定で、開催直前の今、今年の見どころを紹介する。

開催に先駆けて2019年2月にミラノで行われた記者発表会。伊文化財・文化活動省のアルベルト・ボニソーリ大臣、ジュゼッペ・サラ市長、ミラノトリエンナーレ美術館のステファノ・ボエリ館長、イタリア家具工業連盟のエマヌエレ・オルジーニ会長、ミラノサローネのクラウディオ・ルーティ社長が登壇し、開催への協力体制を語った(写真:Andrea Mariani/Salone del Mobile.Milano)
開催に先駆けて2019年2月にミラノで行われた記者発表会。伊文化財・文化活動省のアルベルト・ボニソーリ大臣、ジュゼッペ・サラ市長、ミラノトリエンナーレ美術館のステファノ・ボエリ館長、イタリア家具工業連盟のエマヌエレ・オルジーニ会長、ミラノサローネのクラウディオ・ルーティ社長が登壇し、開催への協力体制を語った(写真:Andrea Mariani/Salone del Mobile.Milano)

 ミラノ国際家具見本市(以下、ミラノサローネ)のロー・フィエラミラノ本会場(以下、本会場)には昨年、188の国と地域から約43万人が来場し、前年比26%増を記録している。58回目の開催を迎える19年の会期は4月9日から14日まで。20万5000平方メートルを超える展示空間に2350以上の企業やデザイナー(内、海外から34%)が出展する。今回は隔年で「エウロルーチェ(照明)」と「Workplace3.0」の見本市が開催される年でもある。

本会場に新カテゴリー誕生

 開催に先駆けた2月、現地の記者会見で新しい取り組みが発表された。ミラノサローネの方針をまとめたマニフェストには「インジェヌイティ(創意工夫)」というキーワードが加わり、イタリアに創造的革新の礎を築いた芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチの没後500周年を記念するイベントとも連動させる。本会場内でダ・ヴィンチにまつわるインスタレーションを行う他、市内に残る史跡を活用する特別展示「アクア(水)」をミラノ市と共催する計画だ。

 本会場では「S.Project」という展示エリアも新設する。会場内の1万4000平方メートルを占有し、世界トップブランドの中から企業向けコントラクト事業で大きく伸びている66社を選抜して、それぞれ個別のブースで構成。米エメコやデンマークのフリッツハンセンといった出展常連企業に加え、市内のショールームでのみ新作を発表していたB&Bイタリア社なども再出展する。ファブリック、音響機器、アウトドア家具など領域を超えた企業間の相乗効果も狙いの1つだけに、インテリアデザインの動向をいち早く反映する場となりそうだ。S.Projectには日本企業では唯一、マルニ木工が参加する。13年に初めて単独出展をして以来、デザインと技術力で着実に評価を得てきた成果だろう。アートディレクターを務める深澤直人氏が、新作家具と共に今年もブースデザインを担う。

マルニ木工は今年の注目エリア「S.Project」に抜擢された唯一の日本企業。ロー・フィエラ本会場のホール22と24に設けられるスペースで、深澤直人氏の「HIROSHIMA ソファ」(写真上)と「Roundishアームチェア」の張座と板座バージョン(写真下の2つ)の他、ジャスパー・モリソン氏デザインのダイニングチェアを中心に、新コンセプトを発表する(写真提供/マルニ木工)
マルニ木工は今年の注目エリア「S.Project」に抜擢された唯一の日本企業。ロー・フィエラ本会場のホール22と24に設けられるスペースで、深澤直人氏の「HIROSHIMA ソファ」(写真上)と「Roundishアームチェア」の張座と板座バージョン(写真下の2つ)の他、ジャスパー・モリソン氏デザインのダイニングチェアを中心に、新コンセプトを発表する(写真提供/マルニ木工)

 本会場に出展する日本企業は他に、カリモクニュースタンダードとリッツウェルの2社。連続3年目の単独出展となるカリモクニュースタンダードは、同時期にミラノ市内の小さなアパートにプライベートハウスを設けて、別の展示を行うという新鮮な手法を試みる。

ロー・フィエラへ3度目の出展を果たすカリモクニュースタンダード。現代デザインの家具ブランドが集結するホール10で絵画的なブースデザインが話題を集めてきた(写真上、昨年の様子)。今年、新たに加わるモーリッツ・シュラッター氏は、東京で活躍するスイス人デザイナー(写真下はその作品)。その他、初めて取り組んだ照明製品開発にも注目したい(写真提供/カリモクニュースタンダード)
ロー・フィエラへ3度目の出展を果たすカリモクニュースタンダード。現代デザインの家具ブランドが集結するホール10で絵画的なブースデザインが話題を集めてきた(写真上、昨年の様子)。今年、新たに加わるモーリッツ・シュラッター氏は、東京で活躍するスイス人デザイナー(写真下はその作品)。その他、初めて取り組んだ照明製品開発にも注目したい(写真提供/カリモクニュースタンダード)

 日本企業が3社のみと少ない現状について、ミラノサローネのクラウディオ・ルーティ社長は、「日本の家具インテリア市場は強い立ち位置にあるので、悲観的に考えてはいない。出展に関しては主催側と同じ価値観を持っているかどうかが大切で、我々はいつでも前向きに捉えている」と話した。

ミラノサローネを率いるクラウディオ・ルーティ社長。伊大手家具メーカー、カルテル社の社長でもあり、12~14年に代表を務めた後、17年から再び現職へ
ミラノサローネを率いるクラウディオ・ルーティ社長。伊大手家具メーカー、カルテル社の社長でもあり、12~14年に代表を務めた後、17年から再び現職へ
サローネサテリテの創設者でありキュレーターのマルヴァ・グリフィン・ウィルシャー氏。優れた出展者を表彰する「サローネサテリテ・アワード」は第10回を迎える。発表は4月10日の15時から
サローネサテリテの創設者でありキュレーターのマルヴァ・グリフィン・ウィルシャー氏。優れた出展者を表彰する「サローネサテリテ・アワード」は第10回を迎える。発表は4月10日の15時から

 とはいえ、日本人デザイナーの活躍は顕著だ。海外ブランドに指名されるデザイナーはもちろん、若手が自主的に出展するエリア「サローネサテリテ」への参加も多く、注目を集める。会期2日目に表彰される「サテリテアワード」でも、昨年はテキスタイルデザイナーの氷室友里氏が受賞し、その後の活動へ勢いをつけた。今年のサテリテ会場はホール22と24に併設され、会期中を通して入場無料で一般公開。会期初日にメーカーの開発担当者が訪れ、次世代の才能をスカウトする場にもなっている。

本会場で見逃せないエリアのひとつ「サローネサテリテ」。厳正な事前審査を通過した35歳以下の若手デザイナーが、ブースを構えてプロトタイプを発表する場だ。nendo、YOY、安積伸氏、田村奈緒氏といった世界で活躍する日本人デザイナーの多くが、ここから羽ばたいた(写真は昨年の様子)(写真:findinGalileo/Salone del Mobile.Milano)
本会場で見逃せないエリアのひとつ「サローネサテリテ」。厳正な事前審査を通過した35歳以下の若手デザイナーが、ブースを構えてプロトタイプを発表する場だ。nendo、YOY、安積伸氏、田村奈緒氏といった世界で活躍する日本人デザイナーの多くが、ここから羽ばたいた(写真は昨年の様子)(写真:findinGalileo/Salone del Mobile.Milano)