国内外の若者でごった返す原宿・竹下通り。ここに新たな長い行列ができている。2019年3月12日から1週間の期間限定でヤフーが仕掛けた、ジューススタンド「ヤフーニュースのヤフージュース」だ。いかにもシャレの効いた話題作りのプロモーションと思いきや、その目的は大真面目なものだった。

竹下通り沿い。JR原宿駅寄りのビル1階に出現した「ヤフーニュースのヤフージュース」
竹下通り沿い。JR原宿駅寄りのビル1階に出現した「ヤフーニュースのヤフージュース」

若者がニュースと出会う場所を作り出す

 現在、「Yahoo!ニュース」は約500媒体から1日約5000本のニュース配信を受けて公開している。このジューススタンドでは、その中から気になるニュースを1本選ぶと、選んだニュースによって味やトッピングが変わるカラフルなオリジナルジュースを無料でもらえる。

 ウェブニュースの世界では、13文字の見出しだけの「Yahoo!ニュース トピックス」に配信したニュースが取り上げられると、ページビューの桁数が変わると言われている。これほど大きな影響力を持っているYahoo!ニュースが、なぜジューススタンドを出したのか。

 ターゲットは原宿・竹下通りを歩く女子高生だ。

 「今回は若者がニュースと出会い、ニュースとの距離を縮めるというところにフォーカスした。(ここでニュースに触れることで)Yahoo!ニュースというより、世の中で起きていることを知ってほしい、見てほしいと思っている」と、ヤフーのメディアカンパニーメディア本部企画部でYahoo!ニュースを担当する森本小百合氏は話す。

 きっかけは約1年前から行っているという、原宿や渋谷の若者への聞き取り調査だった。

 「気になるできごとは?」「どうやってニュースに接している?」――そんな質問を投げかけるうちに、女子高生などのティーンとニュースの付き合い方が分かってきた。中にはニュースに関心があり、自分の意見をしっかり持っているティーンもいた。

 「例えば去年の夏、都内の医大が女子受験者の点数を一律減点していたというニュースが配信されたタイミングでは、そのニュースが気になると挙げた高校生が多く、『自分が受ける大学も同じようなことしていたらイヤだ』『世の中から男女差別はなくなってほしい』などと、はっきり感想を言ってくれる女子高校生もいた。しかしそれを『ほかの人に話しますか?』と聞くと、『大した意見じゃないから話さない』と、引いてしまう人が多かった」(森本氏)

 一方で気になるニュースについて尋ねても、「うーん」と考え込んだまま答えが返ってこない無関心層も。

 「今回はそんな女子高生に向けて、より楽しくニュースを読んでもらいたいという試み。彼女たちにただニュースを読んでねと言っても、『難しそう』とか『動画のほうが楽しい』と言われてしまう。だが今回は“ニュースがジュース”になる。しかもかわいいジュースになるということで、ニュースと触れ合って、楽しく距離を縮めてほしいと思っている」(森本氏)

ヤフーのメディアカンパニーメディア本部企画部でYahoo!ニュースを担当する森本小百合氏
ヤフーのメディアカンパニーメディア本部企画部でYahoo!ニュースを担当する森本小百合氏

 ちなみに狙いは女子高生だが、ネーミングは「ジュース」と「ニュース」をひっかけた、まさかのおやじギャグ。

 「どんどん自分の意見を言う外国のティーンのように、日本の女子高生も自分の言葉でニュースについて話し合ってほしいと考えていたときのこと。アイデアとして『食べられるニュースとか、着られるニュースがあったら面白いよね』という発想が出てきた。その後、ジュースにちなんだ、このネーミングが生まれた。ただしシャレと気が付いてもらいにくいため、看板などのロゴは、ジュースとニュースをあえて並べた」

 店内の壁面には、硬軟織り交ぜたニュースのキーワードがポップなフォントで並び、「働き方改革」や「首脳会議」「消費税」といった自分が気になる時事用語の前で、写真を撮ることもできる。この日の「ヤフーニュースのヤフージュース」試飲会&内覧会では、女子高生に人気のモデルで動画クリエイターの女性もゲストとして登場。

ニュースのキーワードが描かれた壁の前に立つ動画クリエイターの女性
ニュースのキーワードが描かれた壁の前に立つ動画クリエイターの女性

 「ニュースを見るようになったのは、最近のこと。ニュースって『自分だったらこうする』とか、身近に感じながら見たら違うのかなって思います」。そう話す動画クリエイターの女性が選んだのは、「意外と太りやすいおやつ5選。和菓子はヘルシーではなかった」というニュース。カテゴリーやコメント数の末尾の数字、配信時間の3つの要素からジュースベースやゼリー、トッピングなどを組み合わせ、220種類ある組み合わせの中からカラフルなジュースを作ってもらっていた。

 今回、試しに「長谷川博己、京香の家から出勤」という芸能ニュースを選んでみた。スタッフがまず「家から出勤ジュース」という名前を付けてくれて、待つこと30秒程度で「家から出勤ジュース」が出来上がった。無料とは思えないゴージャスなジュースで、クリームやゼリーなどがたっぷり入ったスイーツといえる味わいだ。

 「女子高生はカラフルなものが好きなので、このジュースははやるんじゃないかな。はやると思いますよ。というか、はやらせましょう!」(動画クリエイターの女性)

「家から出勤」ジュースがこちら。ストローもYahoo!の「Y」の字という凝りようだ
「家から出勤」ジュースがこちら。ストローもYahoo!の「Y」の字という凝りようだ