データソリューションサービスの市場は大きく成長する

 本格的にデータソリューション事業に踏み出すヤフー。ユーザーのデータを活用することについては、企業として慎重な対応が求められる。この点について川邊氏は「すべてのデータは法律、利用規約に基づいて活用したい。いくら法律や利用規約に適合していても、社会通念上許容できない状態で無理にこの事業を行うつもりは一切ない」と言い切る。

 「利用されたくないデータに関しては、分かりやすくオプトアウトできるように努める。オプトアウトしたからといって、ユーザーが不利益をこうむらないようにする」(川邊氏)

 実際にサービスとして提供された場合、ツールは誰にでも使えるものなのか。あるいはヤフーによる“コンサルティング”などが必要なのだろうか。

 ヤフー 執行役員チーフデータオフィサー兼メディアカンパニープラットフォーム統括本部長の佐々木潔氏は言う。

 「コンサルが必要かどうかは企業や自治体による。互いのIDを連携させるかどうか、ということでも変わってくるだろう。すでに20団体と実証実験を進めているが、それらに関してはツールを渡せばある程度できると思う。一方、新たに始めるところに対しては、ある程度(コンサルとして)入らなければいけないだろう。ポイントはデータを活用した“課題の発掘”だと思う。このサービスは『渡して終わり』という売り方ではないが、コンサルで入りっ放しのイメージでもない」(佐々木氏)

ヤフーCEOの川邊氏(写真右)と同執行役員の佐々木潔氏
ヤフーCEOの川邊氏(写真右)と同執行役員の佐々木潔氏

 川邊氏は今後のこの分野の市場について、こう分析する。

 「IT業界のすべての経営者が言っているように、インターネットはマーケティングや小売りの分野のみに力がいっていたが、全産業、すべてのバリューチェーンの中にデータドリブンの力が入ってくることになるので、そういったものがソリューション化されたときの市場規模は、非常に大きくなるんじゃないかと考えている」

 ヤフーのビッグデータとAI技術の活用によって、企業のマーケティングはどう変わるのか。また新たなマーケティングは、ユーザー、そして社会にどのような恩恵をもたらすのか。ヤフーが始めるデータソリューションが、今後のマーケティングのあり方に与えるインパクトに注目したい。

(取材・文/佐保圭=SAMIYA)