「日経クロストレンドEXPO 2018」の初日の基調講演に、有志団体CARTIVATOR共同代表で、SkyDrive代表取締役の福澤知浩氏が登壇。東京五輪開会式でデモフライトを目指している日本発の「空飛ぶクルマ」の開発経緯と今後の展望を語った。

有志団体CARTIVATOR共同代表、SkyDrive代表取締役の福澤知浩氏

 子供の頃にモーターが動く仕組みを知って以降、機械に興味を持つようになったという福澤氏は、その後トヨタ自動車に入社し、部品調達などに携わりながらCARTIVATORに参加、空飛ぶクルマの開発に携わるようになった。現在、CARTIVATORには自動車関連企業だけでなく、航空産業やドローン関連企業など幅広い業種から人材が集まり、東京と愛知県を拠点にしながら「2050年までに誰もが自由に空を飛べる時代を創る」ことを目指して活動している。

 CARTIVATORに当初集まったのは、自動車会社で働く20代のメンバーだったという。彼らの多くはリーダーとして、プロジェクト全体を見通した自動車開発に携わりたいと考えているが、実際に会社でリーダーになれるのは50代近くまで待つ必要があり、それまでは部品など自動車作りの一部にしか携わることができないという不満を持っていた。

 また、自動車業界はIT業界と比べて変化に乏しく、イノベーションで大きなトレンドを作り出すことが難しいという不満を持つ人も多かったようだ。それ故、CARTIVATORに集結したのは、プロジェクト全体に携わりながら、「土にもぐったり、海に入ったりするクルマというのがない。そういうのが作りたい」(福澤氏)といった、モビリティーのイノベーションを創出する志を持つ人たちだ。

目指したのは「ドラえもんの道具」

 CARTIVATIORでは当初から、空飛ぶクルマを開発すると決めていたわけではない。ではなぜなぜ空飛ぶクルマの開発を目指すに至ったのか。「やはりドラえもんの道具を目指すべきという考えがあったためだ」と福澤氏は話す。ドラえもんの道具の中でも革新的なのは「どこでもドア」と「タケコプター」だが、どこでもドアは時空を曲げる必要があるなど、現在の技術で実現するのは難しい。そこでタケコプターの実現を目指すべく、空飛ぶクルマの開発に至った。

 その後CARTIVATORでは、市販のドローンを改造するなど市販の部品や3Dプリンターなどを活用しながら試作機作りを進め、苦戦しながらも技術や知見を蓄積していった。一方で多くの企業から資金・技術面での協力を得たのに加え、自動車業界だけでなく他の業界からもメンバーが集まるようになり、現在は100人くらいの体制で開発を進めている。

 しかしそもそも、空飛ぶクルマとは一体どのようなものなのか。福澤氏は明確な定義はないとしながらも、「電動で操作がしやすい航空機」だと話す。電動化によって部品点数が少なくなり、軽量かつ低コストでの開発が可能になったこと、複数の羽を搭載したドローン技術の確立で、ヘリコプターでは難しいとされるホバリング操作が簡単にできるようになったことなどが、空飛ぶクルマの実現に大きく影響したという。

 空飛ぶクルマは現在世界各国で開発が進んでいるが、大きく3つの違いがある。1つ目はドアtoドアでの利用ができる垂直離着陸の有無、2つ目は遠方までの飛行に必要な固定翼の有無、そして3つ目は地上走行ができるタイヤの有無だ。福澤氏らが開発している空飛ぶクルマ「SD-XX」は、垂直離着陸と地上走行が可能なタイプで、日本の狭い国土でも利用しやすいよう世界最小サイズを目指しているという。

CARTIVATORが開発している空飛ぶクルマ「SD-XX」。垂直離着陸が可能で、地上走行も可能な2人乗りタイプの乗り物になる
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