エステーの鹿毛康司氏といえば、「消臭力」や「ムシューダ」「米唐番」などのユニークなCMシリーズを手掛けてきた日本を代表するクリエイター。同社の執行役を務めながら、エグゼクティブ・クリエイティブディレクターとして今も年間10本程度のCM制作に携わっている。一方、TVISION INSIGHTSは、モーションセンサーカメラを使って視聴者の顔の向きをリアルタイムで計測し、実際にテレビ画面を見ているかどうか、独自のアルゴリズムで「注視度:AI(アテンション・インデックス)値」を分析しているユニークなスタートアップだ。視聴者を強烈に引き付けるエステーのCMの秘密を、TVISION INSIGHTSのデータで解き明かす対談企画の前編をお届けする。

エステー執行役 エグゼクティブ・クリエイティブディレクターの鹿毛康司氏(写真右)と、TVISION INSIGHTSを率いる郡谷康士社長
エステー執行役 エグゼクティブ・クリエイティブディレクターの鹿毛康司氏(写真右)と、TVISION INSIGHTSを率いる郡谷康士社長

TVISION INSIGHTS 郡谷康士氏(以下、郡谷) 当社が計測しているデータは、従来の「視聴率」と区別する意味で、「視聴質」と呼んでいます。先日、その核となるAI値(注視度)を基にした「2017年度 業種別テレビCM注視度ランキング」を発表したのですが、そのなかでエステーの「消臭力『愛と平和と消臭力』篇30秒」が化粧品・トイレタリー部門で圧倒的な1位を獲得しました。また、以前発表した年間総合ランキングでは、並み居る大手企業を抑えて4位につけています。

エステー 鹿毛康司氏(以下、鹿毛) いきなりのプレゼントで、率直にうれしいです。

TVISION INSIGHTSが6月末に発表した「2017年度 業種別テレビCM注視度ランキング」の化粧品・トイレタリー部門
TVISION INSIGHTSが6月末に発表した「2017年度 業種別テレビCM注視度ランキング」の化粧品・トイレタリー部門

郡谷 我々のランキングは、1000GRP(GRP=延べ視聴率)以上流れたテレビCMにおける1000GRP時点のAI値を抽出していまして、数値が高いほどCM放送時に視聴者が画面を注視した時間が長く、人数が多い傾向にあることを示しています。

鹿毛 CM放送回数が関係なくて、素のクリエイティビティーを評価されているのがありがたいですよね。放送後の意識調査で「好きなCMは?」と聞くと、どうしても広告の出稿量が結果に関係してきてしまう。その点、リアルタイムでテレビ画面を見ているかどうかは「人の行動」ですから、クリエイティブ評価に“ウソ”がない。このデータは生身の人間の行動を数字に置き換えたもので、クリエイティブへのピュアな評価ですよ。

郡谷 ありがとうございます。ちなみに、1位になった「消臭力『愛と平和と消臭力』篇30秒」のAI値は「0.94」で、化粧品・トイレタリー全体の平均値が「0.72」ですから、大幅に高い数字です。実際の毎秒データを見てみましょうか。

鹿毛 ええ、お願いします。