2019年3月に出版された『アマゾンのすごい問題解決』。アマゾンの仕事の進め方に基づき問題解決を提案する内容で、著者はアマゾン ジャパンの立ち上げメンバーとして同社に約15年間在籍した経営コンサルタントの佐藤将之氏。同氏に業務改善に悩む人へのアドバイスを聞いた。

佐藤将之氏
エバーグローイングパートナーズ代表取締役
事業成長支援アドバイザー

セガ・エンタープライゼスを経て、アマゾン ジャパンの立ち上げメンバーとして2000年7月に入社。サプライチェーン、書籍仕入れ部門を経て、2005年よりオペレーション部門にてディレクターとして国内最大級の物流ネットワークの発展に寄与。2016年、同社退社。現在は鮨(すし)職人として日本の食文化に携わるとともに、成長企業での15年超の経験を生かし、経営コンサルタントとして企業の成長支援を中心に活動中。著書に『アマゾンのすごいルール』(宝島社)、『1日のタスクが1時間で片づく アマゾンのスピード仕事術』(KADOKAWA)などがある

「たくさん」は人によって受け止め方が変わるフレーズ

 ここ数年、アマゾンに関する書籍がいくつも出版され、その戦略を学びたいという人も多い。実際に現場で働いた佐藤氏が最も感銘を受けたのはどんな点だったのか。

 「全ての業務で目標設定を数値化して、それを徹底的にクリアしていくというところ。アマゾンではこのKPI(key performance indicator、目標の達成度を評価するための主要業績評価指標)を『メトリックス』と呼んでいる。日本の企業でもKPIを取り入れているところはあるが、アマゾンはスピード感があり、さらに全部門でこれを徹底している」(佐藤氏)

 目標を数値化して管理するのは、営業部門だけではない。佐藤氏が所属していたオペレーション部門でも同じだ。時間単位で生産性を上げるために、どの程度の人件費をかけるかなど、全て数値化している。全ての部分でここまで細かい目標設定をするのはなぜか。

 「定性的な目標は人によって変わる。『たくさん』と一口に言っても、人によってどの程度を『たくさん』と捉えるかが異なる。オペレーションでも、『1日にたくさん出荷しよう』と言うと、人によって目指すゴールが変わってしまう。でも、『1日1万個の出荷を目指そう』と説明して5000個を目指す人はいないだろう。数値で示せばぶれようがない」(佐藤氏)

期限を決めることが重要

 曖昧なフレーズによって意思疎通がうまくいかないこともある。部下やアシスタントに依頼した急ぎの仕事がなかなか上がってこなかった、「急ぎで」と言われてその通りにしたが、上司がなぜか不満そう。こんな経験をしたことがある人も多いだろう。

 できる限り早くという意味合いの「なるはや」や「きょう中」という言葉のあいまいさも、佐藤氏は指摘する。「なるはや」が示すスピード感や、「きょう中」が19時までなのか17時までなのか、それぞれ人によって認識が異なるからだ。

 「何をいつまでにやるのかを決めることはとても重要。アマゾンは1週間ごとにメトリックスを設定して、それを1日単位、1時間単位に落とし込んでいく。期限を決めないとどんどん後ろに押してしまうので、なにごとも『今すぐやる』というのがアマゾンの1つの考え方だ」(佐藤氏)。