※日経トレンディ 2018年11月号の記事を再構成

今では日本のアルコール消費量のうち、僅か6%程度しか飲まれていない日本酒。その人気復活に挑む企業・未来酒店が運営するのが、「未来日本酒店 KICHIJOJI」だ。

 蔵元から直接仕入れた、約30都府県の日本酒150銘柄以上を販売。カウンターを併設し、居酒屋としても使える。店内はコンクリート打ちっぱなしでデザイナーズ物件さながらの雰囲気。「角打ち=オヤジ」のイメージを払拭し、若者や女性も気軽に立ち寄れる。

「難解な日本酒」のハードルを下げる仕掛け
 日本酒販売店だが、居酒屋としても使える。同社と博報堂アイ・スタジオが共同開発したアプリを活用して、好みの日本酒を判定するサービス(上右写真)も人気。日本酒の知識ゼロでも、好みに近い銘柄を買える。

 彼らを呼び込むさらなる仕掛けが、“AI(人工知能)ソムリエ”。AIを活用したアプリ「Yummy sake」で、その人が好きな日本酒の味を判定するサービスだ。12種類を試飲して、アプリで5段階評価と印象を入力していくだけ。アプリの開発段階から携わった、未来酒店代表取締役CEOの山本祐也氏は、「より直感的な形で、日本酒の魅力を伝えられるようにした」と言う。この結果を参考にすれば、いつでも自分好みの味が注文できる。普段から日本酒を飲んでもらうきっかけづくりにも一役買っているのだ。

現場の視点
未来酒店の山本祐也CEO
あえて“需要のない街”に出店
AIを武器に、新規層を開拓したい

 日本酒の需要拡大には、新たなファンの開拓が不可欠。あえて日本酒のイメージが少ない吉祥寺や代官山に出店し、「Yummy sake」を活用して日本酒を飲むきっかけを提供しつつ、その魅力を伝えたい。今年中にYummy sakeオンリーのコンセプトショップ展開も目指す。

 他にも蔵元の新ブランド立ち上げ、ブランディング支援などにも関わり、あらゆる側面から日本酒の価値向上に取り組んでいる。売上ランキング1位のオリジナル日本酒もそう。人気キャラクターを起用したボトルデザインは、同社が提案したものだ。「7月末には米を生産するための農業参入認可を取得した。原材料、醸造、流通販売すべてを通して米と日本酒の価値を高めたい」(山本氏)と意気込む。

未来日本酒店 KICHIJOJI
売上数RANKING
第1位
SEXY美女キャラクター
オリジナル日本酒 3種類
(三芳菊酒造)

各3500円(税別)

ボトルにキャラクターがデザインされた日本酒で、それぞれの個性を味で表現。例えば、女王様のイメージがあるドロンジョはワイン酵母を使い、肉料理と相性の良い味わいに

第2位
Style H by Kiichi&Akiko Hakuto(白藤酒造店)
2480円(税別)

石川県の蔵元による生酒。果汁のような香りで、ワインをほうふつとさせるボトルデザインも印象的。「生酒特有のうまみとピリッとした喉越しで、“甘うま”な一本」(山本氏)

第3位
純米吟醸無濾過生原酒
忍者Plus(瀬古酒造)

1600円(税別)

滋賀県の蔵元による生酒。蔵元のある甲賀産の米「玉栄」を全量使用しているのが特徴。お勧めの飲み方は冷酒で、生酒らしい芳醇なうまみが魅力だ

(写真/古立康三)