ダッシュボードを駆使するために身につけるべきスキル

 ダッシュボードを定着させたあかつきには、組織のメンバーにガンガン使いこなしてもらいたいもの。またダッシュボード導入企業が増える中、使いこなせる人材のニーズは今後高まり続けるだろう。ではダッシュボードを使いこなすために、マーケター個々人に求められるスキル、身につけておくと今後役立つ能力とはどんなものだろうか。

【スキル・能力1】データの正規化スキル
 マーケティングデータは特に正規化の問題が生じやすい。Google、Facebookなど媒体別に単体で分析する場合もそうだが、横断的に評価する際に正規化問題でつまずくことが多々ある。

 例えば、Google 広告やYahoo!スポンサードサーチにはインプレッションシェア指標があるが、Facebook広告にはない。その場合、どの指標とどの指標を合わせるのかをきちんと定義づけしておかないと、きちんとした評価が下せない。今後も新しい指標が出てくる中、データを正規化できる人材は強い。

広告サービスによって手に入るデータは異なる ※2018年12月時点の対照表
広告サービスによって手に入るデータは異なる ※2018年12月時点の対照表

【スキル・能力2】RDB、SQLの基本的な概念の理解と操作スキル
 RDB(Relational Database:関係データベース)、SQLに関してはマーケターに開発者レベルの知識が求められるわけではなく、基本的な概念を理解し、データベースを使ったことがある、SQLでデータを引っ張ってきたことがある程度の知識があれば十分だ。しかし、基本的な概念や操作方法を全く理解していないと、ETL(Extract Transform Load=データ抽出や加工・入出力)機能を使うのに苦労する。

【スキル・能力3】KPI・KGIの設計
 KPI(組織・担当者目標)、KGI(会社目標)から重要成功要因(Critical Success Factor)となる指標を探っていくマネジメント法は、カード化したデータを簡単にドリルダウンさせることができるダッシュボードが得意とする手法でもある。KPI、KGIの設計ができると、ダッシュボードの構築が一気にやりやすくなる。これは決して経営者層だけに求められるスキルではなく、現場でも必要な能力だ。

KGI・KPIからCSFを探る一例。これらが簡単に可視化できる
KGI・KPIからCSFを探る一例。これらが簡単に可視化できる

【スキル・能力4】現状データに満足しないチャレンジ精神・柔軟性
 例えばGoogle 広告などの広告指標のようにAPI接続で取得できるものもあれば、データウエアハウス「Google Big Query」を間にはさむ必要のあるもの、CSV形式やExcel形式で手動ダウンロードする必要があるものなど、データの取得方法にはさまざまな種類があり、仕様によっては一筋縄ではいかない場合も多い。

 しかし、取得困難なデータがビジネスを評価する上で重要だった場合、すぐに諦めてしまうのはもったいない。例えば、RPA(ロボットを使ったプロセスのオートメーション)を使ってデータ化したものを自動でアップロードしたり、「IFTTT(イフト:IF This Then That)」のような、複数のウェブサービスを容易に連携させられるツールを使うなど、あらゆる可能性を模索してデータを取得・連携し、自分で新たに指標を作るくらいのチャレンジ精神や柔軟性を持つことが重要だ。

あらゆる可能性を模索してデータを取得・連携しよう
あらゆる可能性を模索してデータを取得・連携しよう

ダッシュボード導入に適切なタイミングはない

 ダッシュボードの導入から定着、活用に必要なスキルまでを整理してきたが、これらがすべてそろってからでないとダッシュボードは導入できないのかというと、そんなことは全くない。むしろ、すべての条件が完璧にそろうのを待っていたらいつまでたってもダッシュボードが導入できず、可視化はどんどん遠ざかっていくだろう。

 現実的には、ダッシュボード導入プロジェクトが立ち上がることでデータ整備の現状や課題、欠損が浮き彫りになり、実際にやらなければならないことがわかってくるパターンが圧倒的に多い。

 ダッシュボードはスパイラル型にブラッシュアップされていくもの。まずは可視化できる部分から着手し、とにかく進めてみる。そうして試行錯誤しながら自社の環境や条件に最適化していくことが、ダッシュボード導入・定着化の最大のポイントといえるかもしれない。