いまや不動産の物件探しといえばネット利用が当たり前だが、契約には不動産仲介会社とのやりとりが欠かせない。Housmart(ハウスマート、東京・中央)は、不動産会社がAI(人工知能)で物件情報を集約し、メールで顧客に送る新ツールの提供を始める。アナログの古い商慣習を変えるきっかけになるか。

不動産仲介の業務支援サービス「PropoCloud(プロポクラウド)」の画面
不動産仲介の業務支援サービス「PropoCloud(プロポクラウド)」の画面

 まもなく年度末。新生活に向けた引っ越し需要はピークを迎えている。そんな中、不動産スタートアップのハウスマートは2019年3月1日、中古マンションの物件情報をメールで送信する業務の支援サービス「PropoCloud(プロポクラウド)」を開始する。不動産仲介会社の営業担当者が、問い合わせがあった顧客に対し、メールで連絡する追客(ついきゃく)の業務で使うことを想定する。

 これまで営業担当者が物件を調べてメールを送ると、「一般に1件につき1時間ほどかかっていたが、1分に短縮できる」(ハウスマートの針山昌幸社長)。不動産業界では、「レインズ」と呼ばれる情報流通システムが使われている。レインズ上では、多彩な不動産会社が扱う物件の情報を参照できるが、「それだけを見ても、物件が実際にどんな場所にあるのか、値段が適正なのかと、顧客に提示する詳細の情報が分からない」(針山氏)という問題があった。営業担当者は、追加のリサーチをする作業に手間がかかっていたという。

 プロポクラウドには、ネット上で多数の不動産会社が提示している情報を集め、AIで重複を除いた3万件以上の物件データを集約する。ネット上に流れている中古マンションの物件データは、それぞれが持つ情報量が異なっており、表記のブレもある。従来は重複排除が難しかったが、各情報が持つベクトル(方向性)を解析する機械学習の仕組みを応用することでデータを適正化している。

 営業担当者が、最寄り駅、価格、面積、間取りといった顧客が求める項目を入力していくと、条件に近い物件を自動で抽出できる。その際には、物件の価格をAIで分析し、相場と比べて安い価格を提示している物件を優先的に表示する。35年後までの推定価格をグラフで表示する機能もある。

 これら推定価格の算出には、ハウスマートが16年から提供してきた個人向けの中古マンション情報アプリ「カウル」で培ったAIの分析手法を利用している。建物の立地、総戸数、階数、築年数、デベロッパーやブランドといった特徴量と、周辺の物件情報と照らし合わせることで、価格を推定する。マンションは一戸建てと比べて価格の下がり方が形式化しやすいという特徴があり、「近年では築40年~45年の物件も多数存在する」(針山氏)ことから長期間の予測が実現できたとする。

 毎月のローン支払い額の他、小中学校の学区といった物件選びで重要となる情報も参照できる。

個人向けサイトは重複が多い

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