楽天は2019年2月21日、中国2位のECサイト「JD.com」の京東集団(ジンドン)とドローンや自動配送ロボットを使う配送システムの構築で連携すると発表した。京東は中国で無人倉庫や無人店舗を展開する技術力を持つ。中国発の技術が、国内の物流や小売業界に広がる発端となる可能性もある。

楽天常務執行役員の安藤公二氏(中央)と京東集団の副総裁でX事業部総裁の肖軍(ショウジュン)氏(右)。自動配送ロボットで楽天から配送された荷物を受け取った
楽天常務執行役員の安藤公二氏(中央)と京東集団の副総裁でX事業部総裁の肖軍(ショウジュン)氏(右)。自動配送ロボットで楽天から配送された荷物を受け取った

 楽天のコーポレートカラーである赤を強調したカートがゆっくり移動し、ステージの前に止まる。ピンコードを入力すると、まるでマンションの宅配ボックスのように側面のドアが開いた。楽天マークがついたボックスを受け取った京東集団の副総裁でX事業部総裁の肖軍(ショウジュン)氏は「楽天の日本市場での強みを生かし、我々の技術を日本に広げたい」と意気込んだ。

 この自動配送ロボットを使い、まずは私有地など一部のエリアに限定した実証実験を進める。ロボットは街中の配送センターで荷物を収め、ユーザー宅までのラストワンマイルの配送を担う。国内では現状で法規制があるものの、公道や歩道を走行することを想定する。ドローンは離島や山間地域など、荷物の輸送にコストや時間がかかる地域への配送に使用することを目指す。それぞれの実証実験の詳細は未定だが、19年内には開始する見通しだ。

 楽天と京東はEC事業で競合関係にあるが、今回の提携は技術面の提携に主眼を置いている。提携先に楽天を選んだ理由について「京東と楽天はお互いに似ている会社。中国と日本でそれぞれが影響のあるECを手がけている」(肖氏)ことから、意気投合できたと説明した。交渉は楽天の呼びかけから始まり、18年1月から進めていたという。

中国では既にサービス展開

 楽天は「京東は中国で実際のサービスを展開している」(楽天常務執行役員の安藤公二氏)という実績を重視した。京東は内モンゴルや湖南省で自動配送ロボットの配送ステーションを構築し、1日に最大2000個の荷物を実際に届けているという。ドローンでも中国内で8カ所の拠点を運営し、これまで合計13万キログラムを超える荷物を実際に配送している。

京東集団が開発した自動配送ロボット。最大積載量は50キログラム、最高走行速度は毎時15キロメートル
京東集団が開発した自動配送ロボット。最大積載量は50キログラム、最高走行速度は毎時15キロメートル

 楽天は16年に千葉市の国家戦略特区でドローンや自動配送ロボットの実験をした他、千葉県内のゴルフ場でドローンの配送サービスを提供。その後も17年に福島県南相馬市でローソンとドローン配送の共同実験をするなど、独自のサービス開発を進めてきた。これまでは千葉大発の自律制御システム研究所が開発したドローンを使ってきた。

 京東のドローンは「最大積載量が5キログラムで、最長飛行距離が16キロメートル」(安藤氏)と、従来使ってきたドローンの積載量2キログラム、飛行距離10キロメートルと比べて性能が高いことから、本格的な物流ニーズに応えられると説明する。