同社のシステムは来店客の一人ひとりを“カート”として認識するようなイメージだ。来店客が商品を手に取ると、カートに商品が入ったと判断する。商品を棚に戻せば、カートから商品が取り除かれたと認識する。「システムが動きを理解して、記憶する。人が動いても、それが同一人物だと認識してトラッキングできる」(COO(最高執行責任者)のマイケル・サスワル氏)仕組みによって、これを実現した。顔認識や生体認証を使わないため「プライバシー保護の観点から、重要な競争優位性になる」とサスワル氏は説明する画像認識の参考動画)。

 店内にある商品は形状やパターンをAIが学習する。膨大な商品数を学習しなければならないが、「特許を取得する方針のため詳しくは話せないが、迅速に学習できる技術を開発した」とサスワル氏は話す。商品の入れ替わりが激しい大型店でも、随時学習して対応できるという。

 決済との連係は専用のスマートフォン向けアプリを通じて行う。来店者が店内でアプリを起動すると、画面全体が一瞬赤く光る。これを店内に設置したカメラが捉えると、連係が完了する。商品を手に取り、退店するだけで、アプリに登録しているクレジットカードなどで決済が完了する。さらに「19年の提供開始に向けて開発する新たなバージョンでは、スマホを取り出す必要すらなくなる」とサスワル氏は明かす。

アプリを起動するとスマホの画面が赤く光り、来店を検知する(画像はスタンダード・コグニションのイメージ動画)
アプリを起動するとスマホの画面が赤く光り、来店を検知する(画像はスタンダード・コグニションのイメージ動画)

 もしアプリを利用していなくても、システムの恩恵は受けられる。アプリを利用していない場合は、無人レジで支払いをすることになるが、商品をバッグなどから取り出して読み込ませなくても、無人レジの前に立つだけでシステムが来店者を認識して、手に取った商品の合計額が表示される。後はクレジットカードやICカードなどを使って決済を完了して退店するだけだ。

 これらの仕組みを、スタンダード・コグニションのシステムはカメラだけで実現できるのが最大の特徴だ。「Amazon Goはカメラ以外にも棚に設置するセンサーが必要になるため、300万~500万ドルがかかるといわれている。当社のシステムを使えば、それよりずっと安価に実現できる」とサスワル氏は言う。

 必要なカメラの台数も3000~5000台といわれるAmazon Goに比べて、非常に少ない。「日本の一般的なコンビニであれば、25~30台のカメラで実現可能だ」とサスワル氏。スタンダード・コグニションが米サンフランシスコに出店するレジなしコンビ二は27台のカメラを設置しているという。

 薬王堂での実験は、これら2つの決済方法で利用できるようにする他、従来通りの有人レジも用意する。来店者によってITリテラシーが異なるため、いきなり完全な無人店舗にしても全員が使いこなせるわけではないと判断した。