2018年10月30日、政府はTPP11が6カ国目の批准を終え、12月30日に発効すると発表。日本での著作権の保護期間は自動的に「死後70年」へと延長されたり、著作権侵害が被害者の告訴抜きで起訴・処罰の対象となる「非親告罪化」されたりするという。どう変わるのか、何が注意点なのか、福井健策弁護士に聞いた。

Q1 TPPが発効するだけで国内のルールが変わるものなのですか?

A1 通常は違う。条約は国同士の約束だから、締結後に各国が国内法を改正して、その施行時期が来て初めて国内のルールは変わる。ただ、日本政府はTPP成立を見越して2016年に著作権法を前倒しで改正しており、従来米国が要求していた「著作権期間の延長」や「非親告罪化」は既に国内法で導入済みだ。ただ、その施行は「TPP発効と同時」と規定されていた(注1)。

Q2 著作権の保護期間はどのくらい延びるのですか?

A2 従来の原則は「著作者の生前プラス死後50年」で、この期間が過ぎると作品は誰でも自由に使える。いわば社会の共有財産となる。しかし欧米はこれを「死後70年」などに延ばし、他国にも延長を求めている。今回そうした要求を受け入れて、原則は「死後70年」へと延びる。匿名・団体名義の作品などは「公表後70年」へ、俳優・演奏家や音源に発生する著作隣接権も「実演や発行から70年」へと延びる。

 日本では従来、国内の慎重な議論のうえで延長は見送られてきた。「むやみに期間を長期化すると権利関係が複雑化して、作品の死蔵・散逸を招きやすい」「延長は一部の欧米の権利者を利するだけで、著作権の輸入大国である日本にとっては民間の負担が増える」など、反対意見(注2)が強かったからだ。実は米国が抜けたTPP11では各国の反対が強い著作権の延長は凍結されたのだが、政府はこれを無視して著作権延長を断行してしまった形だ。