下着に貼り付け、肌に密着させたセンサーで日々の呼吸や心拍数を記録する。米スパイアは、個人の健康データをより精緻に測定するための新しいデバイスを、日本でもまもなく発売する。CEO(最高経営責任者)のジョナサン・パーレイ氏はヘルスケア界のグーグルを目指すと話す。

 スパイアが発売する「ヘルスタグ」は、幅が約5㎝、重さは約10gと小型のセンサー。内蔵バッテリーで約1年半駆動し、充電の必要はない。背面にはステッカーが付いており、下着に貼り付けて利用する。防水かつ耐熱仕様となっており、下着を洗濯したり乾燥機にかけたりしても使い続けられるという。スマートフォンと無線(Bluetooth)で接続し、ストレス状態や睡眠の質を測定できる。かつて流行した「Fitbit」のようなバンド型の測定機器とは何が違い、どんなサービスを生み出すのか。来日したパーレイ氏に聞いた。

米スパイアCEOのジョナサン・パーレイ氏
米スパイアCEOのジョナサン・パーレイ氏
ジョナサン・パーレイ氏
米スパイア CEO
米国で語学のフラッシュカードを販売するソフトウエア会社、中国で遠隔授業システムやビッグデータ分析を手掛ける企業を立ち上げた連続起業家。米スタンフォード大学でストレス分析を専門としてきた研究者とスパイアを2013年に立ち上げた

ヘルスケア端末は幻滅期

従来から活動データを集めるFitbitのような端末はありましたが、一時のブームは下火になりました。何が問題だったのでしょうか。

ジョナサン・パーレイ氏(以下、パーレイ) 単純に言えば、サービスから得られる価値が十分ではなかったということだ。歩数を測定して、最初は楽しいと感じるかもしれないが、すぐに飽きる。利用するための手間や心理的なハードルが高いことも問題だった。まず端末に線をつないで充電しなければならないし、毎日忘れずに装着しなければならない。腕時計に加えて別のものを装着するのは煩わしいと感じるかもしれない。それらを乗り越えたうえで、得られる価値が少なかった。それがユーザーの期待に応えられなかった理由だ。

 2014年ごろに、米フィットビットや米ジョウボーンなどのヘルスケア端末がいくつも登場したが、多くは消えていった。これは米ガートナーが提唱する技術トレンド「ハイプ・サイクル」の動きに沿っている。ある技術が登場し、黎明(れいめい)期を経て、過度の期待が集まるピーク期を迎えると「これは世界を変えるぞ」と人々は興奮するが、やがて熱狂が冷めて「これはダメだ」と幻滅期に入っていく。

背面にはステッカーが付いており、下着などに貼り付けられる。肌に密着するため、呼吸や心拍数が正確に測定しやすい
背面にはステッカーが付いており、下着などに貼り付けられる。肌に密着するため、呼吸や心拍数が正確に測定しやすい

 まさにヘルスケア端末はその状況にある。ただ、ハイプ・サイクルに沿って長い目で見れば、いずれ安定期に入り、成熟した技術やサービスが生まれてくるはずだ。

 インターネットの検索技術で考えると、黎明期には「Lycos」や「AltaVista」といった多彩なサービスが登場しては衰退していったが、熱が冷めた頃にグーグルが登場してネット業界を席巻していった。

 我々はヘルスケア業界の中で、かつてのグーグルと同じ立ち位置にいると考えている。フィットビットなど第一世代の製品から教訓を学び取り、第二世代の製品を投入することで実質的に価値のあるビジネスを作り上げたい。

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