アドテクノロジー事業のVOYAGE GROUPと電通子会社でメディアレップ事業のサイバー・コミュニケーションズ(cci)は、株式交換によって経営を統合する。2019年1月に持株会社CARTA HOLDINGS(カルタホールディングス)を設立し、同社の下へと事業会社を移す。VOYAGE GROUPの宇佐美進典社長、cciの新澤明男社長の両名に統合の狙いを聞いた。

VOYAGE GROUP社長 宇佐美進典氏 デロイトトーマツコンサルティングなどを経て、1999年10月にアクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)を創業。2005年にサイバーエージェントの取締役を兼務。14年7月東証マザーズ上場。15年9月東証一部に市場変更

 両社の統合は広告業界に驚きをもって迎え入れられた。これまで電通グループは自社でアドテクノロジー事業を持たなかったが、VOYAGE GROUPとcciの統合により、この領域に本腰を入れるのろしを上げたとも言えるからだ。本件の発表前日に電通がネット系広告代理店のセプテーニ・ホールディングスと資本業務提携し、同社株の約2割を取得することを発表していたことも話題に拍車をかけた。

 VOYAGE GROUPはネット広告を配信する広告主向けのサービスDSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)や、媒体社の収益増加を支援するSSP(サプライ・サイド・プラットフォーム)などアドテクノロジー事業で成長してきた企業だ。18年9月期の売上高は285億1000万円と好調で、前期比で10.1%増えた。主力であるアドテクノロジー事業が好調で、とりわけパフォーマンスを重視する広告主に重宝されている。一方で、ブランド広告主の獲得では攻めあぐねていることを課題視していた。

 cciは多数のネット媒体の広告枠を取り扱うレップ事業者だ。ヤフーの広告枠をいち早く取り扱うなどして、業界をリードしてきた。ところが市場の変化により、徐々にその存在感が薄れつつある。効果測定をしながら、広告クリエイティブやターゲットを最適化して、効果を高める運用が重要になることが由来の「運用型広告」と呼ばれる広告市場が拡大。運用型広告の支援事業者が増加している。運用型広告支援事業はそのパフォーマンスで評価され、cciも広告主からは横並びに見られてしまう。

 そこで、両社が手を組むことでお互いの弱点を補い、次世代の成長路線を描こうとしている。電通グループは言わずもがな、ブランド広告主を多数抱える。この顧客網はVOYAGE GROUPにとっては魅力的だ。cciはVOYAGE GROUPの持つアドテクノロジーを用いて独自の商品を開発し、差異化を図ろうとしている。

 VOYAGE GROUPは株式交換によってcciの発行済株式数をすべて取得して子会社化。同時に電通と資本業務提携を結ぶ。VOYAGE GROUPと電通の共同出資の持株会社として、19年1月にCARTA HOLDINGSを設立し、同社の傘下に現VOYAGE GROUPの事業会社とcciを移す。