ルミネは2017年11月にシンガポールに出店。その裏側を仕掛け人であるルミネの新井良亮相談役が明かす。日本の社員を2年間現地に住まわせ、富裕層と大衆層の間にある「中間層」のマーケットに大きな可能性があると分かった。

ルミネの新井良亮相談役(右)は日本国有鉄道に入社し、電車運転士や新宿駅、渋谷駅で勤務した後、国鉄とJRの人事関係業務に約20年携わる。1987年、国鉄分割民営化によりJR東日本に入社。東京地域本社の事業部長、本社常務取締役を経たのち、エキナカやウオータービジネスなどさまざまな新規事業を立ち上げる。2009年代表取締役副社長・事業創造本部長に就任。11年ルミネ代表取締役社長を兼務、12年JR東日本副社長を退任。17年ルミネ取締役会長に就任。18年同社取締役相談役に就任
ルミネの新井良亮相談役(右)は日本国有鉄道に入社し、電車運転士や新宿駅、渋谷駅で勤務した後、国鉄とJRの人事関係業務に約20年携わる。1987年、国鉄分割民営化によりJR東日本に入社。東京地域本社の事業部長、本社常務取締役を経たのち、エキナカやウオータービジネスなどさまざまな新規事業を立ち上げる。2009年代表取締役副社長・事業創造本部長に就任。11年ルミネ代表取締役社長を兼務、12年JR東日本副社長を退任。17年ルミネ取締役会長に就任。18年同社取締役相談役に就任

 本連載は、「この人の『勘』や『感』の見方を知りたい!」と思った方にお会いし、仕事に「勘」や「感」は必要なのか、どのように磨けばいいのかについて、成功談も失敗談も含めて聞いていくものです。それも、難しい書き言葉ではなく、わかりやすい話し言葉で。読者の皆さんにとって、未来に向けたヒントになれば幸いです。

 今回は前回の記事「ルミネが今アジアに出店した決断の裏側 新井相談役が明かす」に続いて、ルミネの相談役である新井良亮さんに登場いただきます。JR東日本の副社長を務めた後、ルミネの社長から会長を経て相談役に。新しい施策を次々と打ち出し、ルミネの業容を広げてきた方です。

 前回は2017年11月にシンガポール、2018年12月にジャカルタと、ルミネが海外ショップを開いた経緯を伺いました。真のグローバル化が始まる時代だからこそ、あえてアジアへの出店を決断したこと。30代を中心とした若手社員に任せることで、次の時代に向けた力をつけてほしいと考えたこと。本件をある意味での練習ととらえ、ひたむきに練習を続けることが成果につながっていくこと。未来に向かう力強いお話を伺いました。

 今回は主にシンガポールへの出店について、具体的な内容を突っ込んで聞いてみました。

現地スタッフを東京に招待、感激して涙を流す人も

川島 「ルミネシンガポール」も「ルミネジャカルタ」も、オープンするにあたって、現地で採用した10人ほどのスタッフを東京に呼び、2週間という長期にわたり、扱うブランドのアパレル企業を訪問したり、日本の市場を見る機会を作ったりしたと聞きました。

新井 ファッションを取り巻く市場に限らず、日本の生活文化に直に触れてもらいたいと考えたのです。これから一緒にやっていくパートナーとして、服が作られている背景など日本のものづくりを理解した上で、現地でしっかり伝えてほしいと思いました。

川島 今どき、良い意味でぜいたくな話です。感激して涙をこぼした人もいたと聞きました。

新井 国は違っても、人と人が交流すると、私たちにとっても学びがあるし、先方も学んでくれるところがある。それぞれが刺激し合いながら、ともに成長していけばいいと考えています。

川島 先日、「ルミネシンガポール」を取材したのですが、大きなショッピングモールの一画にテナントという形で入っていて、アパレルをはじめ、ファッション雑貨や生活雑貨も置いてある。おしゃれなカフェも併設されていて、シンガポールでは異色なタイプの店と感じました。セレクトショップがやっているライフスタイル提案に近いことを、ルミネが自主運営でやっているのですね。

新井 約930平米のショップで、「アッシュペー・フランス」「トゥモローランド」「マッシュスタイルラボ」など、ルミネに入っているアパレル企業の中から約20ブランドの商品を買い付け、セレクトショップとして展開する試みを行ったのです。20ブランドのうち17ブランドは東南アジアおよびシンガポール初登場のもので、独自性を出すことを目指しました。

17年11月にオープンした「ルミネシンガポール」
17年11月にオープンした「ルミネシンガポール」
第36回
ルミネが今アジアに出店した決断の裏側 新井相談役が明かす
第38回
ルミネがジャカルタでセレクト店に挑戦 「失敗したっていい」