朝礼で社員が自分の感性をどう磨いたかを発表

川島 この連載のテーマは「経営に『勘』と『感』は必要か」なのですが、山田さんはどう思われますか。

山田 うちの会社では、毎週月曜日の朝9時から、社員がそれぞれ、この1週間で自分の感性をどう磨いたかを、皆に向けて発表することにしています。映画でも美術館でもお芝居でもいいし、それに限らずどういう分野のことでもいいのです。

川島 高尚な文化論でなく、あくまで自分流でいいとなると、気楽にできそうな気もします。

山田 それと毎朝11時に行う朝礼のときに、「GOOD&NEW」というテーマのもと、自分が感じた新しいことやいいと思ったものについて話すことにしています。みんなが発言することありきにしているので、自分たちから話すようになってきました。これからAI(人工知能)が発達していっても、感性や創造性をつかさどる前頭葉の部分はまだ人間に及ばないと言われています。だからこそ、僕らは磨いていかないといけないと思うのです。

川島 社長が一方的に規則をつくるのではなく、社員と一緒になって磨いていくところがいいですね。

山田 僕らがやってきたこと、やろうとしていることは前例がないので、今までの常識が通用しないのです。だからこそ「勘」や「感」を働かせなければ、やっていくことができないのです。

川島 そうやって磨き続けた先のゴールを、どんなところに置いているのですか。

山田 ファクトリエを始めたときからまったく変わっていません。「メイド・イン・ジャパンの世界ブランドをつくること」です。今、インターネットで「メイド・イン・ジャパン」「ファッション」で検索すると、ファクトリエが最初に出てくるようになりました。

川島 すごいですね。

山田 ただ本来の目標を達成するためには、まだやることがたくさんあります。それは一人だけでできることでもないし、仲間うちのなれ合いのようになってもいけないのです。工場であっても、社員であっても、お客さまであっても、良い意味で緊張感を持ちながら、切磋琢磨(せっさたくま)を続けていくこと。そうすればいずれ「メイド・イン・ジャパンの世界ブランド」ができていくと信じています。

川島 相変わらずブレるところがまったくない“山田節”が健在なことが、よく分かりました。これからも勝手にエールを送り続けようと思います。

(写真/鈴木愛子)

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