中野科学が2018年春に発売する予定のステンレス食器のシリーズ「As it is」は、一般的なステンレスのイメージを覆す、カラフルで深みのある色が特徴だ。この色は塗装などによる着色ではない。金属を酸化させて表面に透明な皮膜をつくることで、色が付いているように見えるというものだ。

 例えば、シャボン玉の表面や水の上にこぼれた油が、光の加減で虹色に見えることがある。どちらも透明な薄い膜だが、膜の表面で反射した光と、膜の裏側で反射した光ではわずかなずれが生じる。光は波の性質を持つので、ずれた2つの光が重なると、波の山部分と谷部分で強め合う部分と弱め合う部分ができ、それが人間の目には色として見える。シャボン玉や油の場合は膜の厚さにばらつきがあるのでいろいろな色が見えるが、厚さが均一ならば単色に見えるわけだ。

塗装や染色ではなく、金属表面に0.2~0.3μmという透明で均一な酸化皮膜をつくることで、本当は無色なのに光の干渉で色が付いて見える(写真提供:中野科学)
塗装や染色ではなく、金属表面に0.2~0.3μmという透明で均一な酸化皮膜をつくることで、本当は無色なのに光の干渉で色が付いて見える(写真提供:中野科学)
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 「技術自体は20年ほどの歴史がある」と中野科学の中野俊介・専務は言う。これまでもヘッドホンや楽器、バイクなどの部品に使われたり、医療現場や食品工場など、さまざまな業務用途で使われてきたという。