経済産業省はデザイン経営を主導する「高度デザイン人材」の育成プロジェクトを推進中だ。研究会を発足させ、2018年度はカリキュラムなどを討議。19年度から具体的に取り組む。ビジネスパーソンの新たな資格制度につながる可能性もある。

研究会の議論の結果、デザイン経営を支えるスキルとして5つのキーワードが出てきた。図中の「B」はビジネス、「T」はテクノロジーの略。研究会のメンバーは岩佐浩徳リクルートコミュニケーションズ専門役員、上田義弘富士通デザイン社長、江渡浩一郎産業技術総合研究所主任研究員、田村大リ・パブリック共同代表、丸山幸伸日立製作所研究開発グループ東京社会イノベーション協創センタ主管デザイナー、山崎和彦千葉工業大学教授、鷲田祐一一橋大学教授で、座長は長谷川敦士コンセント社長。事務局は経済産業省の商務・サービスグループ クールジャパン政策課とコンセント(経済産業省の資料による)
研究会の議論の結果、デザイン経営を支えるスキルとして5つのキーワードが出てきた。図中の「B」はビジネス、「T」はテクノロジーの略。研究会のメンバーは岩佐浩徳リクルートコミュニケーションズ専門役員、上田義弘富士通デザイン社長、江渡浩一郎産業技術総合研究所主任研究員、田村大リ・パブリック共同代表、丸山幸伸日立製作所研究開発グループ東京社会イノベーション協創センタ主管デザイナー、山崎和彦千葉工業大学教授、鷲田祐一一橋大学教授で、座長は長谷川敦士コンセント社長。事務局は経済産業省の商務・サービスグループ クールジャパン政策課とコンセント(経済産業省の資料による)

 高度デザイン人材の育成は、経産省・特許庁が18年5月に発表した「『デザイン経営』宣言」で提言していた政策の1つ。新たな発想で事業課題を創造的に解決できる人材のことで、ビジネスやテクノロジー、デザインといった専門領域の垣根を越えたスキルの習得を目指す。

 研究会は19年2月28日までに3回開催し、このほど概要が固まった。哲学やアートなども視野に入れたカリキュラムを想定しており、デザイン思考だけを学ぶものではない。デザイン経営といっても従来の経営コンサルティングとは異なるカリキュラムになりそうだ。19年度には研究会の内容をまとめた報告書やカリキュラムのガイドラインを発表したり、啓発に向けたイベントなどを開催したりする計画。今後の大学や企業の人材育成に役立つようにする。

デザイン経営を支える5つのスキル

 研究会では、デザイン経営に関連したカリキュラムを備える欧米や日本の大学を調査して参考にした他、有識者にヒアリングを重ねた。調査対象に挙がったのは米イリノイ工科大学フィンランドのアールト大学、英ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの他、日本では九州大学、千葉工業大学など。デザイン経営では何が必要なのか、そのための人材はどんなスキルを持つべきかといった点を議論して、高度デザイン人材に対するイメージを固めた。その結果、デザイン経営を支える人材には「サービスデザイン」「デザインストラテジー」「ビジネスデザイン」「デザインマネジメント」「ビジョンデザイン」といった5つの方向性があることが分かってきた。

 最も重要なのは1つ目の、サービスデザインだ。簡単に言えば「顧客体験を統合的にデザインするアプローチ」することであり、潜在する課題を見つけながら、感性も踏まえつつ、製品やサービスの実現につなげる。関係する企業間の利益も意識するなど、多くの知識が求められるという。 UX(ユーザーエクスペリエンス)デザインの知見はもちろん、マーケティングやIoTに関するスキルも必要になる。幅広い視野で新規事業を開発したり、業務プロセスを改善したりできるようにする。例えば、エンジニアがデザインの視点を学んだり、逆にデザイナーがエンジニアリングを学んでスキルを身に付けたりする場合もある。いずれにせよ、サービスデザインを実行するには、あくまで顧客体験を起点に考えることが基本になる。

「サービスデザイン」には、顧客体験を起点に幅広い視野が求められる(経済産業省の資料による)
「サービスデザイン」には、顧客体験を起点に幅広い視野が求められる(経済産業省の資料による)
異例の2月特売が成功 アダストリアが店頭映像データ分析で成果
日清食品がニッチな「完全栄養食」に参入 背景に自社EC強化