技術とデザインを駆使し、医療機器として公的機関で正式に認証されたプロダクトが出てきている。医療機器として認められれば、メーカーにとっても新たな市場を開拓できるチャンスが広がる。

国立研究開発法人の産業技術総合研究所が開発したアザラシ型ロボットの「パロ」は4色ある。国内外の医療施設などで活用され、アニマルセラピーと同様の効果が確認されているという。体長は約57cm、体重は約2.7kg

 米国で、医療機器に該当する製品を販売するためには、日本の厚生労働省に当たる米保健福祉省(HHS:Department of Health and Human Services)が所管する連邦政府機関の食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)から認証を取得する必要がある。

 国内では「医療機器ではない」とすれば、認証がなくても販売することは可能という。だが、患者やその家族にとっては「医療機器」として正式に認証されたほうが、安心感が出てくるはず。新たな希望が見えてくるに違いない。

アニマルセラピー効果を実証

 国立研究開発法人の産業技術総合研究所が開発したアザラシ型ロボットの「パロ」も、その1つだろう。

 動物と触れ合うことで癒やしを得るアニマルセラピーと同様の効果を備えるとして、国内外の医療施設などで活用されている。動物を飼えない場合の代替として、治験により認知症の高齢者や自閉症の子供たちの心身の状態の改善の結果を得たことで、米国では2009年にFDAが医療機器として認証。現在は公的医療保険が適用されている。

 パロは本体に内蔵したマイクや多数のセンサー、AI(人工知能)などの働きにより、人の呼びかけを理解して反応を示し、抱きかかえると喜ぶしぐさもする。ユーザーの行動によってパロが学習する機能を備えるため、ユーザーが新たな名前を付けて何度も呼びかけると寄ってくる。さらに頭を何度もなでると、なでられたいような動きを示すなど、ユーザーの好みに近づいていくという。ロボットでありながら豊かな感情表現を持ち、あたかも本物の動物のような行動を見せることで、人を和ませるわけだ。

 「ペットといえば真っ先に犬や猫が思い浮かぶが、それらは身近な存在だけに、ロボットに仕立てても、よりリアルな姿が求められる。そこで外観はかわいらしいが、あまり一般にはなじみがないアザラシに着目した」と開発した産業技術総合研究所人間情報研究部門の柴田崇徳上級主任研究員は言う。

 ただし本物に似せるだけではなく、触り心地や抱き心地を考慮して、大きさや重量を決めた。一方で、縫い目が見えないようにしたり、特殊なメカニカル機構を盛り込んで機械音が出ないようにしたりして、できる限りロボットとは感じないように工夫したという。

 日本や米国の他、英国やデンマーク、フランス、オーストラリアなど30カ国以上で5000体以上が医療福祉で利用されている。国内では知能システム(富山県南砺市)などが販売しており、1年保証の場合の価格は36万円(税別)。癒やしを訴求する安価なロボットとは異なり、多くの医療現場での実績が、機能や性能を証明している。

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