※日経トレンディ 2019年7月号の記事を再構成

J1に定着しながらタイトルに恵まれなかった川崎フロンターレだが、2017、18年にはJ1連覇を達成。ビジネスマネジメントランキングでは4位に入る。その源泉には、9年連続1位を獲得している「地域貢献度」があった。

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「ビジネス力」4位の川崎フロンターレ 中村憲剛にインタビュー(画像)
本拠地:等々力陸上競技場(収容人数2万6827人)
平均入場者数:2万2112人
集客率:80.4%
売上高:51億2300万円
スポンサー数:152社
SNSフォロワー数/
 Twitter:約36万3800人
 Facebook:約10万3100人
 Instagram:約6万1000人
注)平均入場者数、集客率は2017年。売上高は17年度。スポンサー数、SNSフォロワー数は19年5月24日時点の数字。スポンサー数は、オフィシャルスポンサーのみの数字。サポートカンパニー、サポートショップを含めると1258社。掲載のグッズは19年6月30日までの限定販売

 18年のJ1を制し、史上5チーム目の連覇を成し遂げた川崎フロンターレ。その軌跡は実にドラマに満ちている。1999年にJ2に参戦し、2005年以降はJ1に定着。J1で2位を3回、カップ戦で準優勝5回と常に上位に入りながらタイトルに恵まれなかったが、17年に悲願のJ1初優勝。優勝戦線も大詰めとなった第29節ベガルタ仙台戦では、退場者を出しながらラスト10分で3点を奪い、大逆転勝利を果たした。終盤に劇的な展開がたびたび待ち構える“等々力劇場”は、フロンターレの代名詞となっている。

【ココを見ろ!】 選手 
トップ選手がピッチ外でも大活躍
 代表経験のある主力選手も、積極的にファンサービス、地域貢献活動に参加。選手の契約書に「無償で地域貢献活動に協力する」という項目がある徹底ぶりだ。ユニークな企画が目白押しで、18年のハロウィーンの時期には、公式Twitterで選手の仮装姿を毎日投稿。「川崎フロンターレはサッカークラブです」のハッシュタグで笑いを誘った。
(左)FW 11 小林悠 (右)MF 14 中村憲剛
(左)FW 11 小林悠 (右)MF 14 中村憲剛

 収容人数2万6827人の等々力陸上競技場は決して小さくないが、17年の平均集客率は約80.4%を記録。ビジネスマネジメント力ランキング(第1回:「Jリーグ55クラブのビジネス力をランキング 2位は鹿島、1位は?」)では、スタジアム集客率で2位につける。SNSフォロワー数なども高いポイントをマークして、全体では4位に入った。

全選手が社会貢献活動に参加

 彼らのビジネス力の源泉を如実に表すのが、Jリーグスタジアム観戦者調査の「地域貢献度」だ。何と9年連続で1位を獲得。フロンターレ一筋16年のミッドフィルダー・中村憲剛(インタビューを記事の最後に掲載)を筆頭に、全選手が社会貢献活動に参加する。18年の活動回数は、Jリーグトップクラスの1408回を数えた。

 きっかけは01年に遡る。前年にJ1に昇格するもたった1年でJ2に降格し、平均入場者数が現在の6分の1にも満たない3784人まで落ち込んだ。そこで立ち上がったのは、当時主力ディフェンダーとして活躍した伊藤宏樹氏(現在はクラブスタッフ)だ。「チームのために自分たちができることはないか」と声を上げ、地元の祭り、病院の小児病棟訪問から河原のゴミ拾いまで選手が参加するようになった。

 その地道な活動が結実し、04年にはJ2だったにもかかわらず、01年の約2.5倍となる平均入場者数9148人を記録。15年には初めて2万人を突破し、18年、過去最高の2万3218人を達成した。チーム成績向上との相乗効果で、等々力はサックスブルーで埋め尽くされるようになった。