2019年に入り、普及に向けて攻勢を続けるQRコード決済サービス事業者の動きに呼応するように、キャッシュレス決済を積極的に導入する小売店が増え、クレジットカード会社など“既存勢力”も次々と対抗策を打ち出し始めた。これで日本にキャッシュレス決済は定着するのか──。各社の動きとともに、残された課題を探った。

主なQRコード決済サービス事業者一覧
主なQRコード決済サービス事業者一覧

 「QRコード決済を使ったきっかけは、『PayPay』が2018年に実施した『100億円キャンペーン』。使えるQRコード決済が店によって違うので、複数のQRコード決済サービスを使っている。キャンペーンがある時は、支払いの6割くらいをQRコードで決済している。使ってお得な方がうれしいが、還元率20%がこの先続くとも思えない。でも常時3%くらいの還元率は欲しい」(日常的にQRコード決済を使いこなしている29歳・女性)

 「『楽天ペイ』を主に利用し、他にPayPayや『メルペイ』も登録しているが、キャンペーンが実施されている時しか原則、使わない。オートチャージ機能付き『Suica』で決済する方が速くて簡単で便利」(楽天ペイを利用はしている36歳・男性)

 「PayPayの100億円キャンペーンは気になった。QRコード決済を使うなら、コンビニエンスストアやドラッグストアで使ってみたいし、還元率は3~5%ぐらいは欲しい。普段はSuicaと『nanaco』、それにポイント払いで決済することが多い。現金を使うのは支払いの2~3割程度」(QRコード決済をまだ利用していない男性・46歳)

 「『LINE』や『メルカリ』を使っていると『LINE Pay』や『メルペイ』のクーポンが出てくる。ただ使い方がよく分からず、いろいろ登録するのが面倒な気がしてまだ利用していない。クレジットカードと同じポイントがたまったり、消費税率分くらい還元されたりするなら、使いたくなるかもしれない」(QRコード決済をまだ利用していない女性・35歳)

 これらはすべて、MMD研究所として活動するMMDLabo(東京・港)が6月中旬に実施した、「QRコード決済利用者と興味者の座談会」に、ユーザー代表として参加した人々のコメントだ。昨年から普及が本格化したQRコード決済サービスについて、ユーザー側がどんな見方をしているかを象徴している。

既存のキャッシュレス決済の取り込みに向かう

 これらのコメントや取材から読み取れるユーザーの動向のポイントは3つある。第一に、QRコード決済を利用するユーザーは、それなりにお得感を求めている。第二に、アプリを操作して決済に必要な画面を呼び出すQRコード決済よりも、端末にタッチするだけで済むSuicaのような非接触決済のほうが、操作が簡単で好まれる傾向が強い。第三に、複数のQRコード決済を使い分けるユーザーがいる一方で、店によって利用可能なQRコード決済サービスが異なったり、同じ店で複数のQRコード決済が利用可能だったりする状況を、分かりにくいと感じるユーザーが少なくないということだ。

 この3つのポイントを踏まえ、QRコード決済サービス事業者は19年に入って、どのような普及策を打ち出しているのか──。