企業や個人間で商品を共有するシェアリングサービスの利用者が増えている。車、ファッション、スペースと対象物は広がり、2018年度の市場規模は過去最高に。シェアリングは傘についても注目されていて、低コストでインフラビジネスに参入できることを示した。

傘シェアリングサービス「アイカサ」
傘シェアリングサービス「アイカサ」

 梅雨の時期が到来し、今年も急な雨をしのぐためにビニール傘を買うハメになった人は少なくないだろう。1本600円前後はするので、決して安い買い物ではない。こうした誰でも経験する小さな悩みを解決しようというのが、Nature Innovation Group(東京・渋谷)が2018年に始めた傘のシェアリングサービス「アイカサ」だ。傘の利用料は1日(借りた時点から24時間以内)ならわずか70円(税込み、以下同)。600円のビニール傘を買うことを考えれば、かなりの節約になる。

 もともと傘のシェアリングサービスは中国で始まったものだったが、その動きに同社の丸川照司社長が着目。日本に持ち込んだ。本社のある東京・渋谷を中心に、19年6月中旬の時点で、上野駅周辺や福岡駅周辺など240カ所に3000本のシェアリングサービス用の傘を設置している。これを20年中には、都内を中心に1500カ所3万本まで広げる予定だ。19年6月12日には、JR東日本の子会社やベンチャーキャピタルの出資を受けたと発表した。

 目指すのは、傘を持ち歩かないで済む生活の提案。例えば、渋谷に買い物に来た時に、雨が降ってきたら駅前で傘を借りて用事を済ませ、また駅前で傘を返して“手ぶら”になってから、電車に乗って帰る。自宅の最寄り駅に着いたときにまだ雨が降っていたら、その駅前でまた傘を借りて、翌日駅で返すといったものだ。電車に乗っている間の傘の管理は特に面倒なものだが、不要なときに傘を持ち歩かない生活を、アイカサは提案している。

傘の利用料は1日70円

 アイカサの利用法だが、まずスマートフォンのLINEアプリで「アイカサ」と検索し、アイカサと「友だち」になることが最初の一歩だ。さらにアイカサの画面上で傘が置かれている場所を探す。アイカサの傘が置かれた傘置き場には、ダイヤルロックが掛けられた傘が置いてある。傘のQRコードをスマホで読み込むと開錠に必要なパスワードが表示されて、傘のロックを解いて利用する。返却時には傘置き場に返却用のQRコートが表示されているので、それをスマホで読み込んでから、傘を畳んで傘置き場に返す仕組みだ。傘は同じ場所の傘置き場に返す必要はなく、アイカサが用意したほかの場所にある傘置き場でも問題はない。

アイカサ利用の流れ。LINEを使って利用する
アイカサ利用の流れ。LINEを使って利用する

 利用料金はLINEで決済情報を登録し、LINEペイかクレジットカードで支払う。傘の利用料は1日(借りた時点から24時間以内)なら70円。1日70円ずつ段階的に料金が加算され、6日以降なら420円になり、月末まで料金は変わらない。1日・24時間の間に傘を2度、3度と借りても時間内に返せば料金は70円で変わらない。その結果、傘を借りて街を歩いている間に雨が止んだら、いったん借りた傘を返却し、また雨が降ってきたら借りるといったことが可能になる。ちなみに借りている傘を紛失したら、アイカサに「買い取り申請」を提出して864円を支払えば、それ以上の料金は発生しない(次ページでアイカサのビジネスモデルを図で紹介)。

アイカサの利用代金。1日70円からで月間なら最大420円
アイカサの利用代金。1日70円からで月間なら最大420円
東京・渋谷駅地下1階にあるアイカサの設置例
東京・渋谷駅地下1階にあるアイカサの設置例