民泊やライドシェア、フリマアプリが台頭し、シェアリングサービスが市民権を得つつある。三菱総合研究所では、特にシェアリングの普及と人々の消費行動の変化に着目して研究を行っている。本連載では研究成果を紹介していく。第一回は、シェアリング台頭の背景にある2つの要因を考察する。

(写真/Shutterstock)
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 皆さんは、何かしらシェアリングサービスを利用しているだろうか。近年、「Airbnb」に代表される民泊サービスや「メルカリ」「ラクマ」などのフリマアプリを中心にさまざまなサービスが普及。今や“シェアリング”は、私たちの生活の一部として定着しつつある。

 三菱総合研究所の調べでは、既にシェアリングを冠するサービスは国内で500を超えて提供されている。サービス内容は多岐にわたり、自家用車を空き時間にシェアするサービスや、レジャー用ボートやスーツをシェアするもの、さらには個人の時間をシェアするサービスまである。モノだけでなく、個人のスキルや時間といった無形資産までシェアする対象は広がっているのだ。

 フリマアプリ大手のメルカリの場合、トイレットペーパーの芯や、集めたベルマークも出品され、実際に取引されている。トイレットペーパーの芯は子どもが工作に使いたいという需要を満たしており、一方ベルマークはPTAや保護者会で使用するために効率的に集めたいと考える親からの引き合いがある。

 上記の事実から浮かび上がるのは、既存ビジネスでは満たせなかった生活ニーズをシェアリングが満たし、存在感を増しているということだ。

メルカリのアプリは7000万を突破

 では、国内でシェアリングサービスは実際にどの程度使われているのだろうか。

 総務省が発表している「平成30年版 情報通信白書」によると、シェアリングサービスの認知度は40%を超えた。一般の人にも認知が広がっているのは間違いない。

 各サービスの実際の利用状況に関する数値を各社の発表ベースで調べてみると、フリマアプリの代表格であるメルカリは、2018年7月時点でアプリのダウンロードが7100万を超えた。カーシェア大手のタイムズカープラスも会員数が100万人を超え、都市部を中心に普及する。私たちの生活の一部として浸透しつつある。

主要なシェアリングサービスの利用状況
主要なシェアリングサービスの利用状況

 市場規模の観点でも見ていこう。これは、内閣府経済社会総合研究所が発表した「シェアリング・エコノミー等新分野の経済活動の計測に関する調査研究」が参考になる。シェアリング・エコノミー全体での生産額は16年度の時点で5000億円超。ここ数年で急速に市場を拡大していることが分かる。

 急速な市場拡大を背景に、既存企業がシェアリングビジネスに参入する動きも加速している。例えば18年、楽天とLIFULLが共同出資会社として「楽天LIFULL STAY」を設立し、民泊事業に参入した。他にも大企業による参入の動きが活発となっている。

 ではなぜ今、シェアリングビジネスが広がりを見せているのか。

 実はシェアリングそのものは、決して新しい文化ではない。「しょうゆ貸し」という言葉をご存じだろうか。ご近所付き合いの一環として、調味料や生活用品の貸し借りを行う慣習が、古くから日本にはあった。いわばシェアリングの先駆けであり、私たちの祖先の生活にシェアリングは自然に根付き親しんできたわけである。