牛乳、豆乳に続く“第3のミルク”こと「アーモンドミルク」。国内市場でシェア9割を超す圧倒的なヒット商品がある。2014年4月に全国展開を始めた江崎グリコの「アーモンド効果」だ。アーモンドを飲むという新習慣を形にしたそのアイデアは、いかなる哲学で生まれたのか。

※日経トレンディ 2019年4月号の記事を再構成

 “1粒で2度おいしい”のキャッチフレーズで知られる「アーモンドグリコ」。1955年の発売から60年近い時を刻み、アーモンド効果は世に出た。

 「最初は、落書きに近いアイデアだった。日本にアーモンドを興業的に持ち込んだのはグリコ。アーモンドは健康にいいといわれる一方、『硬い』『歯に挟まる』という意見が多かった。だったら、ドリンクにしよう、と」。健康事業・新規事業マーケティング部の木村幸生部長は、当時をこう振り返る。

アーモンド効果を生んだ健康事業・新規事業マーケティング部を率いる江崎グリコの木村幸生部長
アーモンド効果を生んだ健康事業・新規事業マーケティング部を率いる江崎グリコの木村幸生部長

 とにかく徹底的にアイデアを出した。「感覚ではなく、ロジカルに。問題を解決するには、どうすればいいか。感情をあまり入れず、可能性だけを考えて、『テーブルの上に全部出そう』とした」(木村氏)。

 なぜなら、経験上、アイデアは量が命だったからだ。「アイデアの拡散と評価を一緒にしないことが、ゴールデンルール。出てきたアイデアは客観視できるので、面白くなかったら、ついついゴミ箱に捨てちゃう。でもそれをやると、アイデアの数そのものが出なくなる」(木村氏)。

 量がないと質は生まれない。口癖は「本当にいいアイデアは101個目に出てくる」。もし100個しか考えなかったら、101個目には出合えない。つまり、確率論ではなく、絶対数に依存するという。アイデア同士を組み合わせることで、革新的なアイデアが生まれる場合もある。だから木村氏は言う。「アイデアを簡単に捨てるな。くだらない提案でも、一回全部出してみるように、と」。