「中国に店を作ってもしょうがない」

 ワークマンが、デカトロンと決定的に違うのは、海外に出店するつもりが全くない点にある。東京五輪を控え、過去最多のペースで訪日外国人客が増え続けている今、外国人には日本の店舗で購入してもらったほうが、はるかにいいという考え方だ。

 「今時、中国にリアルの店舗を持ってもしょうがない。北京の繁華街にアンテナショップを作るぐらいなら、沖縄、札幌、福岡など、外国人客が多い場所に店を出して待ち構える。日本を気に入った、日本びいきの人だけ買えばいい。日本を知らない人は買わなくていい」(土屋氏)。

 そう言い切るのには理由がある。「一度訪日したら、日本のソフトパワーはすごいから、だいたいの外国人はいいイメージを持つ。その日本でユニクロよりも店舗が増えているのがワークマンだと知ったら、それは(ワークマンを)買いますよ」(土屋氏)。

 海外展開で一つだけあり得るとすれば、「中国の会社に委託し、うちの社員を1人も使わず、中国でネット販売する」(土屋氏)こと。ワークマンは中国に商品倉庫を持っているため、日本に“輸出”せず、現地でそのまま商品を流通させれば、手間もコストも省けるのだ。

 では、デカトロン以外のライバルが突如現れ、ワークマンプラスに対して攻勢を掛けたらどうなるか。土屋氏はあっさりとこう言い放った。「仮に『ユニクロアウトドア』や『ユニクロスポーツ』が現れたら、撤退する。うちには第2弾、第3弾がありますから」。

「第2、第3のワークマンプラス」を展開すると意欲を示す土屋氏

 ワークマンプラスで学んだのは、ワークマンの膨大な商品群の中から、ある分野に特化した商品を集めれば、旬な店は作れるということだ。

 エプロンを切り出せば、エプロン専門店が作れる。「エプロンの市場規模はざっと300~400億円と小さいからやらないが、やれないことはない。カレーのルウ以外なら汚れが全くつかない、飲食店向けの業務用エプロンもあって、品数はそろえられる。もし出店したら、市場の4分の1ぐらいは取れるんじゃないか」(土屋氏)。

 同じ発想でワークマンプラスに続く第2、第3の専門店を作るというのだ。ある程度、その目星はついている。「アウトドア業界よりはニッチだが、今でも市場の12%のシェアを取っているアイテムがある。それを切り出して、ワークマンプラスみたいに見せ方を変えれば、一般客も買ってくれる。ワークマンプラスが勝ちだと分かった瞬間にやりますよ」と土屋氏は力を込めた。

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