地下鉄を利用する際、妊婦やベビーカーを押している乗客にとっては、階段やエスカレーターの整備度が不安な要素になる。車いすを使っている乗客も同じだろう。東京地下鉄(東京メトロ)では、駅のエレべーターを使ってスムーズに移動するのをサポートしようという試みが始まった。

「ベビーメトロ」の画面の流れ。各駅の「エレベーターの有無」「ベンチの有無」「乗車位置」「駅構内図」がすぐに分かる。既存のバリアフリー情報を再構成した。開発やデザインはフェンリルが担当。エレベーターの情報を簡単に調べられるように、できる限り少ない操作で、結果の表示がシンプルになるようにした。当初のイメージカラーは女性を意識してピンクにしていたが、男性も使うためにエメラルドグリーンに変更した(https://www.babymetro.jp/)

 東京メトロは2018年3月下旬から、「ベビーメトロ」と呼ぶサービスの実証実験を進めている。179カ所ある東京メトロの全駅を対象に「エレベーターのみで地上・ホーム間を移動できるか」を「〇」「×」で表示する他、「エレベーターに乗るための最適な乗車位置」「エレベーターに乗るためには、どこをどう進むべきかといった駅構内の図」「体調が悪くなったときに休憩できるベンチがホームにあるかどうか」を知らせるスマートフォン用のサイトだ。路線や駅名から簡単に検索できる点が特徴で、駅に関するさまざまな情報をあえて盛り込まず、エレベーターやベンチの有無だけに特化し、操作をできる限りシンプルにした。

 東京メトロは各駅のバリアフリー化を進めており、同社の企業サイトにも各駅のバリアフリーの状況や構内図などを公開している。しかし、駅のさまざまな情報を盛り込んでおり、どの駅のどこにエレベーターが設置されているか、地上からホームまでスムーズに移動できるかなど、一目では分かりにくい。そこでバリアフリーに絞った新しいサイトをスタート。スマホで簡単に使えるようにすることで、いろいろな乗客が地下鉄を利用しやすくなるようにした。

 「今回のサイトは私の実体験から生まれたもの。地下鉄で妻がベビーカーを押しているとき、『多くの情報が公開されていても、ちょっと使いにくい』と話した一言が、ベビーメトロを開発しようとしたきっかけだった。妊婦やベビーカーを押すお客さまでも、地下鉄を快適に利用できる情報を提供したいと思い、16年9月に社内の提案制度“メトロのたまご”に応募した」と今回のプロジェクトを主導した経営企画本部ICT戦略部の横溝大樹ICT基盤担当は言う。審査は部長クラスを前に提案者がプレゼンテーション。提案内容に魅力があり、企業としての意義や本人の意気込みがあれば通過するという。

●ベビーメトロの開発の流れ

余計な情報を盛り込まない

第6回
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第8回
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