日本フィルハーモニー交響楽団とメディアアーティストの落合陽一氏が共同で企画した、聴覚障害のある方も一緒に楽しめるクラシックコンサート「耳で聴かない音楽会」。音を振動や光で表現する聴覚補助システムを用意し、聴覚障害のある人たちがコンサートを楽しめるようにした。

2018年8月27日に開催された「変態する音楽会」の会場の模様。聴覚障害がある人も障害のない人も、オーケストラを楽しんでもらおうと企画したコンサートだ

 2018年4月22日に開催した「耳で聴かない音楽会」は、ピクシーダストテクノロジーズCEOでメディアアーティストの落合陽一氏と、日本フィルが共同で企画したプロジェクトの第1弾。抱きかかえて使用する球体形の「SOUND HUG」(サウンドハグ)や、ヘアピンのように髪に装着する「Ontenna」(オンテナ)、衣服のような「ORCHESTRA JACKET」(オーケストラジャケット)など、音を振動や光で表現する聴覚補助システムを用意し、聴覚障害のある人たちがコンサートを楽しむことができる内容だった。

 SOUND HUGは「耳で聴かない音楽会」のために、ピクシーダストテクノロジーズが開発した。楽器が奏でるそれぞれの音をすべて拾い、その周波数によって振動を再現。SOUND HUG内の振動スピーカーで再生することで、音の振動を触って感じられるようにした。高い音と低い音では振動の強さも違うそうだ。振動だけでは伝わりづらい旋律は視覚で感じられるように、音楽に合わせて球体が発光する。SOUND HUGが画期的なのは、聞こえない音を「補う」のではなく、たとえ音が聞こえなくても振動や光で音楽を「楽しめる」ように開発されたデバイスであることだ。日本フィルの山岸淳子氏は「落合さんのアート作品という要素もあり、今までの補助システムとは全く異なる」と話す。

「SOUND HUG」を抱きかかえ、髪に「Ontenna」を装着しながら音楽を聴いている様子。Ontennaは、音源の鳴動パターンをリアルタイムに振動と光に変換することで、音のリズムやパターン、大きさを髪の毛を用いて知覚できる装置だという
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