「全国好きな場所を移動しながら仕事、生活したい」、そんなライフスタイルをかなえるサブスクリプションサービスが登場する。2019年4月に始まる「ADDress」は、地方の空き家や遊休別荘を募って改装した物件に月額4万円で住み放題になる。“多拠点コリビング”と名付けられた事業の要は何だろうか。

(写真提供/アドレス)
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 一つの住居を複数人で共有して暮らす「シェアハウス」、オフィス環境を共有してパソコン作業や打ち合わせなどに使える「コワーキングスペース」が、若者層を中心に浸透して利用が進んでいる。

 ただ、シェアハウスは基本的に一拠点の契約で場所に縛られる。またコワーキングスペースは複数拠点が使い放題になるプランもあるが、寝泊まりはできないといった制約がある。

 「全国好きな場所を移動しながら仕事、生活したい」「週末は都心を離れて田舎暮らしや読書を楽しみたい」──。そんな希望がかなう、シェアハウスとコワーキングスペースの“いいとこ取り”したようなサービスが4月から始まる。定額制で全国の契約施設にどこでも住み放題の多拠点コリビングサービス「ADDress」がそれだ。

 4月に第1弾として、物件11カ所を用意し、年会費48万円(月4万円)の利用料でサービスを開始する。1親等以内は無料なので、家族で滞在できる。物件の所在地は、千葉県南房総市、千葉県一宮市、神奈川県鎌倉市、静岡県南伊豆町、群馬県長野原町、福井県美浜町、徳島県美馬市、徳島県三好市、鳥取市など。主に都市部からの週末の利用を想定している。各拠点は、地方の空き家や遊休別荘を募って購入またはサブリースで確保し、リノベーションする。物件コストを抑えつつ個室を確保し、共有のリビング・キッチン、家具、Wi-Fi、光熱費、アメニティー、清掃まで料金内で提供する。

 また、お試し用として月5万円プランの他、月8万円の法人会員プランも用意。ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス、リクルート住まいカンパニーなど4社が参画する。

4月から全国11拠点でスタートする(写真提供/アドレス)
4月から全国11拠点でスタートする(写真提供/アドレス)

シェアビジネスの伝道師が企画

 ADDressの運営は、18年12月に設立されたアドレス(東京・千代田)。同社社長の佐別当隆志氏は、ソーシャルメディア活用支援やシェアリングサービスを展開するガイアックスでブランド推進室に所属する傍ら、シェアハウス「Miraie」を運営し、16年1月にシェアリングエコノミー協会を設立して事務局長を務めているシェアビジネスの伝道師だ。

 佐別当氏は、「今まで私たちは、家は一つ、住所も一つ、それが当然と思っていた。だがインターネットでどこでも仕事ができるようになり、場所に縛られない生き方が可能になっている。自宅だけでなく、さまざまなエリアにある家をシェアして、お気に入りの場所で過ごし、そこで生まれる滞在者や地域とのコミュニティーが地域の活性化にもつながる。そんな受け皿を作りたい」と意気込む。

 若い層を中心に地方での暮らしに対する関心は高まっている。内閣府が14年に実施した「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」によると、東京都から移住する予定または移住を検討したいと思っている人は40.7%。10~20代では46.7%と高い数字が出ている。一方、少子高齢化を背景とした空き家の増加が社会問題化している。野村総合研究所の予測によると、33年には空き家数が2166万戸、全住宅の3割が空き家になる見込みだ。

若者の移住意向と空き家問題をマッチングして「ADDress」は生まれた
若者の移住意向と空き家問題をマッチングして「ADDress」は生まれた