サブスクリプション型ビジネスがブームになるはるか前からサブスクモデルを導入し、中核事業に成長させている企業があることは意外と知られていない。メニコンのコンタクトレンズを月額制で利用できる「メルスプラン」がそれだ。会員数は2019年1月、130万人を超えた。

 定額制で使い放題のサブスクリプション型ビジネスが、「Netflix」や「Spotify」などデジタルコンテンツ配信において成功し、その流れがモノのサブスクへと移行、拡大している。実はそのはるか前からサブスクモデルを独自に構築し、中核事業に成長させている企業があることは意外と知られていない。しかも国内メーカーだ。名古屋に本社を構えるコンタクトレンズ製造・販売大手のメニコンである。

 メニコンが展開する、同社のコンタクトレンズを月額制で利用できるサービス「メルスプラン」の開始は18年前の2001年。13年6月に会員数が100万人を超え、現在130万人超の会員を有する。この5年間、年4~5%増ペースで着々と会員数を増やしている。2018年3月期のメルスプランの年間売上高は383億400万円。同連結売上高が766億7200万円であることから、ちょうど半分をメルスプランが稼いでいる計算だ。19年3月期は400億円に達する見込み。国内のコンタクトレンズ関連事業に限れば7割に上る、圧倒的な中核事業である。

メニコンの国内コンタクトレンズ関連事業の業績推移(年度)。「メルスプラン」の導入で業績はV字回復(データ提供:メニコン)
メニコンの国内コンタクトレンズ関連事業の業績推移(年度)。「メルスプラン」の導入で業績はV字回復(データ提供:メニコン)

 メルスプランの内容と特徴をざっと説明しておこう。メルスプランは、同社のコンタクトレンズを購入ではなく月額制で利用するサービスで、料金は入会金が3000円から、月額費用は1800円からとなる。長期使用はハードタイプとソフトタイプを提供、使い捨て・定期交換は1日使い捨てタイプから3カ月交換タイプまで用意する。

メルスプランの料金例(ケア用品はオプション)
メルスプランの料金例(ケア用品はオプション)

 メルスプランの主な利点は、使っているうちに汚れやキズが付いたり破損したりした場合、ハード・ソフトタイプなら破損レンズを店頭に持ち込むことで新しいコンタクトレンズと無料で交換できること。視力やライフスタイルの変化でコンタクトが合わなくなった場合も、度数・種類の変更が可能。紛失した場合も5000円で新品レンズを提供している。

 長期使用タイプのコンタクトレンズの場合、汚れや破損、紛失といったトラブルに無償または安価で対応してもらえるのは安心感がある。購入した場合と比べると、レンズそのものは購入した方が安上がりだが、安心料ととらえてメルスプランを選ぶ、継続する利用者は多い。

 では、近年利用者の多くを占める、破損や紛失がさほどリスクではない1日使い捨てや2週間交換タイプのユーザーメリットは何か。

 メルスプランの運営を率いる同社ブランド戦略&市場調査部メルス戦略チームのチームリーダー平田浩二氏は、「通常の購入スタイルだと、『まだ使えそう』『もったいない』といった理由で、規定の使用期間を越えてコンタクトを使ってしまうユーザーさんが少なからずいらっしゃる。それが目の不調、障害を招く原因になっている」と指摘する。定額制ならば3カ月後に3カ月分のレンズが提供されるので、使用期間を守るモチベーション、コンプライアンスが働きやすい。「3カ月に1度、新レンズを受け取るタイミングで眼の検査を習慣づけられるので、眼に異常が生じた場合も早期発見、対応ができる」(平田氏)。

 目に違和感を持ちながらも使用期間を越えてレンズを装用しがちだった従来の購入型から、サブスク型に切り替えることで同じレンズでも使用期間や意識がガラリと変わる。その意味でメルスプランは新しいコンタクト体験と共に、目の安心・安全を提供していると言えるだろう。処方箋の期限内であれば自宅に定期配送できるため、利便性も高い。コンタクトによる眼障害リスクが下がることから、眼科医が支持、推奨したことも、追い風になった。