米エアビーアンドビーや米グーグルなど、従来の旅行業界とは異なる競合に攻め込まれる米エクスペディア。売上高が1兆円を超える旅行業界の巨人の次の手はなにか。エクスペディア・グループのマーク・オカストロムCEOに聞いた。

エクスペディアの逆襲(下)アマゾンは圏外、統合AIで個客対応(画像)
マーク・オカストロムCEO
2017年8月にエクスペディア・グループの社長兼CEO(最高経営責任者)に就任した。CFO(最高財務責任者)を務めていたが、前CEOのダラ・コスロシャヒ氏が米ウーバー・テクノロジーズのCEOに転じたため任を引き継いだ。エクスペディアの前は、コンサルティング会社の米ベイン・アンド・カンパニー、スイスUBSの投資銀行などに在籍していた。

 エクスペディア・グループは旅行全般のオンライン予約の「エクスペディア」をはじめ、ホテルに特化した「ホテルズドットコム」、法人向けの「エージェンシア(Egencia)」、民泊の「ホームアウェイ」、メタサーチと呼ぶサイト比較の「トリバゴ」など20以上のブランドを持ち、世界70カ国以上で200超のサイトを運営している。

 エアビーアンドビーなどの競合にどのように対抗していく戦略なのか。全世界でグループ約2万4000人を率いる、エクスペディアのオカストロムCEOに聞いた。

エクスペディアが20以上ものブランドを持っていることに驚いた。なぜ、そこまで多くの企業群を持つようになったのか。

我々のグループはいくつもの側面を持っている。まずは旅行や宿泊のプラットフォームを外部に提供していること。それらを1つのチームで提供している。一方で顧客サイドには、旅行の中でも異なる目的があり、それぞれに訴求するために複数の別ブランドを用意している。例えば、「ホテルズドットコム」はホテルのみを利用したい顧客向けだ。法人向けには「エージェンシア」などもある。これらを1つのプラットフォームで提供しているのが我々の特徴だ。

グループ共通のAIプラットフォームを開発中

プラットフォームにはサービスやデータなど複数の意味がある。もう少し説明してほしい。

我々のプラットフォームには2つの意味がある。1つはそれぞれに特化したサービスを提供するためのものだ。そしてもう1つはグループのすべてを横断するデータのプラットフォームだ。我々は非常に長い間、企業を横断して様々なデータを共有し活用してきた。そして今、グループを横断するAI(人工知能)のプラットフォームを構築している。AIはゲームチェンジャーだ。

どのような活用を想定しているのか。

エクスペディア・グループは基本的にAIファーストに移行していく。すべてのプログラムのコードがAIの機能で駆動することを考える。大量のデータポイントがあるが、それらを機械学習などの手法を活用してリアルタイムに分析。個別の顧客に応じたパーソナライゼーションの高度化などに活用していく。

エクスペディアの年次イベント「explorer'18」で展示した、航空会社向けの分析サービス(2018年12月、米ラスベガス)
エクスペディアの年次イベント「explorer'18」で展示した、航空会社向けの分析サービス(2018年12月、米ラスベガス)

グループにはどの程度の数のAIエンジニアが在籍しているのか。エクスペディアの本社がある米ワシントン州のシアトル市とその周辺には、ワシントン大学、米マイクロソフト、米アマゾン・ドット・コムなどから輩出されたAI人材のエコシステムが構築されていると聞く。

我々はグループで約6000人のエンジニア、数百人のデータサイエンティストを擁している。数は公表していないが、多くのAIエンジニアや優秀な博士号の保有者が在籍している。ワシントン大学の課程から多くの人材を雇用している。我々もこうしたシアトルのAIエコシステムの一部であって、コミュニティで積極的に活動し貢献している。