リクルートグループが金融サービスに力を入れている。「じゃらんnet」や、「ホットペッパー」「SUUMO」など既存サービスを活用している法人顧客向けに融資を行うものだ。一時的で少額の資金繰りに悩む中小企業は多い。そのような悩みを持つ企業に対して迅速かつ簡便に貸し付ける。

適切な融資が事業の芽を育てる(c)Shutterstock
適切な融資が事業の芽を育てる(c)Shutterstock

 サービスを提供するのはリクルートファイナンスパートナーズだ。なぜリクルートが融資を行えるのか。それは、リクルートが取引先企業に関するトランザクションデータ、すなわち日々の生々しい業務データを保有しているからだ。

 例えば、じゃらんnetであれば、その宿泊施設において次のゴールデンウイークにどれだけの予約が入っているか分かる。たくさん予約が入っていれば、売り上げも立つから返済に困ることはないだろう、と判断できる。このような取り組みは「リクルートが持つトランザクションデータを活用し、迅速な融資を実現。積極的な成長投資をサポート」するものと位置づけられている(i)

 こうした生々しいトランザクションデータは、同じ宿泊施設と取引をしている地銀・信金などの既存金融機関は持っていない。顧客の日々の業務に関する詳細なデータを保有しているために可能な、かゆいところに手が届くサービスだ。

ドローン「飛ばすたび保険」を作った英国企業

 リクルートのような既存サービス・トランザクションデータを持たないなかで、かゆいところに手を届かせようとしている事例もある。プロのドローン操縦者向け保険を高度化する英フロックの事例を見てみよう(ii)

 これまでのドローン保険は、「保証期間1年間、年額10万円」といった保険が一般的であった。フロックが新たに提供を開始しようとしているのは、「飛ばすたび保険」とでも呼ぶべき、小ロットでその場のリスクに応じた掛け金設定を行う保険だ。

 どのようにサービスが提供されるのか。契約者はドローンを飛ばす際に、スマートフォンのアプリを立ち上げ「これから飛ばす」ボタンを押す。すると、スマホ端末のGPSに由来する位置データから「どこで飛ばそうとしているのか」が捕捉される。そのエリアの現在の気象状況、周囲の高層建築物の有無などのデータが収集され、「その場その時にドローンを飛ばすリスク」が算出される。そして、そのリスクに応じて向こう1時間の保険料が算出され、同意をすれば契約が始まるのだ。

 これは、「年間10万円」という大ロット・固定費であった保険サービスを、「飛ばすたびに合理的なリスク算出と課金」という小ロット・変動費に変えるサービスだ。高解像・高頻度・多様なデータによって、気が利くサービスになっている。

 リクルートのケースも、フロックのケースもいずれも特定領域に限定することによって、業界を問わぬ汎用的な融資や、汎用的な損害保険に勝とうとしている。特定領域に絞っている分、市場規模は限定されるが、人手をかけない前提なので、事業として成立している点が面白い。

(出典)
(i)「パートナーズクラブウェブサイト」、リクルートファイナンスパートナーズ(2019年3月閲覧)
(ii)Flock社ウェブサイト、(2019年3月閲覧)