20代の留学組が開発を担当

 INFERVISIONの設立は15年。創業者の陳寛(CK Chen Kuan)CEO(最高経営責任者)がシカゴ大学で経済学を学んでいた11年、マシンラーニング(機械学習)の一種であるディープラーニング(深層学習)の活用で画像認識精度が一気に高まった。そこで、陳CEOはディープラーニングの活用による医療画像診断支援システムの開発を思いついたといわれている。

 米国シリコンバレーではなく、北京市で起業したのは、前述したように中国には、AI医療画像診断支援システムの開発に積極的に協力してくれる、張医師のような若くて優秀な医師がたくさんいるからだという。加えて、米国や英国などの大学や大学院でAIなどのコンピューターサイエンスを学んだ優秀な若者がたくさん中国に戻ってきていることなどが起業の決め手になった。

 実際、INFERVISIONの開発部隊約100人全員が20代と若い(会社全体では約300人)。医療画像を診断するディープラーニングアルゴリズム開発部部長である赵朝炜(Zhao Chew wei)氏は27歳。赵氏は上海交通大学を卒業後に米国インディアナ州にある公立の総合大学パデュー大学(Purdue University)の大学院でインダストリアルエンジニアリング(Industrial Engineering)を学んだ。この大学からは米NASA(アメリカ航空宇宙局)に進む人が多い。

写真左から、INFERVISIONのAIソフトウエア開発部上級チームリーダー(senior team leader)である余航(Yu Hang)氏(25歳)。医療画像を診断するディープラーニングアルゴリズム開発部の部長である赵朝炜(Zhao Chew wei)氏(27歳)。INFERVISION日本法人Infervision.Japan取締役の郭暁㬢(Xiaoxi Guo)氏(30歳)
写真左から、INFERVISIONのAIソフトウエア開発部上級チームリーダー(senior team leader)である余航(Yu Hang)氏(25歳)。医療画像を診断するディープラーニングアルゴリズム開発部の部長である赵朝炜(Zhao Chew wei)氏(27歳)。INFERVISION日本法人Infervision.Japan取締役の郭暁㬢(Xiaoxi Guo)氏(30歳)

 引く手あまただった赵氏がINFERVISIONに入社した理由は明快だ。「16年当時は社員数は10人程度だった。しかし、CEOやCTO(最高技術責任者)などと面接して、自分が学んだディープラーニングが医療に貢献できることを知ったから」(赵氏)。

 AIソフトウエア開発部の上級チームリーダー(senior team leader)である余航(Yu Hang)氏は25歳。上海交通大学で2年間コンピューターサイエンスを学んだ後、米ミシガン大学に進学し、2年間コンピューターサイエンスを学んだ。その後大学院に進み、卒業後は米フェイスブックに入社した。余氏がINFERVISIONに転職した理由も実に明快だ。

 「ディープラーニングの活用で人を助けることができる。必ずガンを見つけるシステムを開発するのは非常にやりがいが感じられるうえに、自分が興味を持っているディープラーニングを扱うことができることに魅力を感じた。CEOやCTOなどとの面談でそのことを確信することができた」(余氏)という。余氏によれば、「フェイスブックに在籍していたときより報酬は減ったが、20代後半の若さでチームリーダーになれるのがINFERVISIONだ。大きな組織の歯車ではない」。